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移民史料館=所蔵したいが…68万円=鈴木貞次郎の絵葉書、書簡

ニッケイ新聞 2008年4月11日付け

 現在、東京・神田の古書店で、鈴木貞次郎(南樹、1879~1970)がチリやブラジルから、日本の俳句仲間の一人に書き送った書簡一通、絵葉書八十四枚が売りに出されている。販売希望価格は六十八万円。
 ブラジル日本移民史料館の関係者は、戦前・戦後のコロニアを知る資料の発見に、「何とか購入する手立てはないか」と頭を捻っている。
 鈴木は、笠戸丸以前の一九〇六年に単身カフェザールに入り、戦後は日伯新聞で健筆をふるい、著作に『ブラジル移民の草分け』『埋もれゆく拓人の足跡』などがあるコロニア人。
 書簡には昭和二十五年の消印があり、小笠原公衛・JICAシニアボランティアも「時期的に勝ち負けのことにも触れているのではないか」と期待する。
 八十四枚の葉書は、一九〇三年(明治三十三年)に東京から送ったものが一番古く、ブラジルからのものが多いという。
 知人を通じて同資料の存在を知った中村茂生・同ボランティアが古書店に連絡したところ、「ブラジルにあるべきもの」と古書店主は理解を示し、取り置いてもらっている状態となっているが、問題は購入費。
 現在、史料館が所蔵する資料は、主に寄贈によるもの。資料購入費は予算に組まれていないため、栗原猛・史料館運営委員長は、「篤志家の支援が頂ければ有り難い」と理解を呼びかけている。
 詳しくは同史料館(電話=11・3209・5465)まで。