ニッケイ新聞 2008年4月8日付け
ブラジル日本移民百周年式典に向けてご来伯が予定されている皇太子殿下のご訪問候補地として、初めて日本人移民が降り立ったサントスが挙がっている。一九五八年の日本移民五十周年祭で皇室から初めて三笠宮ご夫妻が来伯されてから半世紀。過去八回の皇室ブラジル訪問で、サントスへの公式訪問は行なわれていない。現在、六十三年ぶりに返還された旧サントス日本語学校校舎の改修を進めるサントス日系社会。初の皇族ご訪問へ期待が高まっている。
サントス日本人会の遠藤浩会長は、日本政府筋から内々に打診があったことを明かし、「サントスを訪れる可能性がある、という話があった」と嬉しそうに語り、会員ともども期待を高めているという。
サントス市のジョアン・パウロ・タバレス・パパ市長とともに以前から、サンパウロ総領事館に皇室のサントスご訪問を要望してきた遠藤会長。日本政府の草の根無償資金協力を受けて、旧サントス日本語学校の改修工事が進められていることもあり、皇室の同地ご訪問の可能性が改めて取り沙汰されてきた。
一九二〇年代に開校した旧サントス日本語学校は、第二次大戦中の四三年に敵性資産として政府に接収。戦後の返還運動を受けて〇六年、六十三年ぶりに所有者のサントス日本人会との間で、建物の使用を認める契約が交わされた。
今年一月二十四日には日本政府から約八万六千ドルの草の根無償資金が供与されることが決定。改修工事が進められている。当初から六月の移民の日に向けた完成をめざしていたこともあり、ブラジルを訪問される予定の皇太子殿下の、同地ご訪問に期待がますます高まっている。
皇室のブラジルでの訪問先については、サンパウロ、パラナ、リオなど国内各地からご来訪の要望が出されている。サントスご訪問の可能性についてサンパウロ総領事館に尋ねると、「正式には何も決まっていない」としながらも、「そういう可能性もあるかもしれない」と話した。
改修工事終了後、旧日語校校舎は、日語学校とともに多目的日本文化センターとして生まれかわる計画だ。遠藤会長は「日本政府のおかげでここまで辿り着いたことを見てもらいたい」と意気込む。さらに「日本人会だけじゃなく、地元の人たちと一緒になって盛上げたい」と語った。
このほか、サントスでは、六月十八日に約七百六十人を乗せた海上自衛隊練習艦隊三隻がサントス港に入港する予定になっている。