ニッケイ新聞 2008年4月5日付け
政府がアマゾンの乱伐防止対策を講じ、各地で対立が起きたりしているにも関わらず、二日発表の国立宇宙調査研究院(Inpe)によるアマゾン地域の森林伐採面積調査では、雨の多い二月にも伐採が減っていないことが確認された。
三日のエスタード紙と四日のフォーリャ紙が報じたもので、二月の伐採面積は観測できた地域総計で七二五平方キロ。六三九平方キロであった一月と比べ、一三・四五%の増加となっている。
最も伐採面積が多いのはマット・グロッソ州(MT)で、八八%に当たる六三九平方キロ。残りはロライマ州(RR)五一・七平方キロ、パラ―州(PA)一二・五平方キロ、ロンドニア州(RO)九・六キロとなっている。PAとROが雲のために観測不能な地域が多かったため、通常の伐採量は少ないRRが二番手となっている。
この調査はDeterと呼ばれるシステムによるもので、大きな面積の変化しか捉えられないという難点がある。逆にいえば、雲が晴れ、小規模の伐採も捉えたならば、伐採面積はさらに増える可能性もある。
Inpeの調査結果に対しては、火災や選択的に切り倒した木など、短期ではなく長期に渡って伐採された部分も統計に含まれているというMTの反論などが繰り返されてきたが、雲のために観測不能だった部分が、次回観測で新しい伐採と数えられるといった可能性を加味しても、伐採は増加傾向にあるといえる。
四日のエスタード紙には、ROに住むカトリックの大司教が「アマゾンから違法伐採された材木を運び出すトラックを何十台と見ている司教がいるのに、どうして警官や国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)の人たちには見えないんだ」と述べ、政府の行動の甘さを指摘している。大司教によれば、司法、行政の担当者たちも地域の土地の持主であったりすれば、当然、監査は甘くなり、地域の当事者すべてが森林乱伐の進む原因の一端を負っているという。
四日のフォーリャ紙には、MTやROの知事の関係企業が監査で違法と判断され、罰金を科せられたことや、アマゾナス州の市長の農場閉鎖の報もある。かつて動物学者の一人が「アマゾンに住む人たち自身がアマゾンを破壊しようとしている」とその著作の中で指摘していたことが、まさに現実となっている。
二月も伐採面積増加の報に環境相は、政府の講じている対策の結果が見えてくるまでには時間がかかるとしつつ、対策が効を奏し、今年度の伐採面積減少となって現れることを期待しているという。