ニッケイ新聞 2008年4月2日付け
構成家族として養子縁組をして来伯という経歴を持つ日本人も多かったが、一日のエスタード紙に、養子縁組を進めるための新プロジェクトが組まれ、国会での承認待ちと報じられた。
記事によると、全国の施設にいる十八歳までの子供や青年は約八万人。このうちの一〇%は養子縁組が可能で、手を差し伸べてくれる親の出現を待っている。
この数字は、二〇〇四年末に行われた全国調査と比べるとかなり多い。〇四年には、八百七十の施設に二万四千人が収容されていた。八七%の子供たちには家族がおり、貧困、虐待、遺棄、親が麻薬常用者で保護養育能力がないなどの理由で引き取られたという。一二%については、親が居ない、または浮浪児となって収容されたもの。
〇四年当時から、養子縁組が成立するのは一〇%程度だったようで、養子をと願う人の数は常に、養子にと願う子供の数を上回っているという。
これは、養子を探す時に肌の色や年齢、性別、その上、経歴や病気がなくてと様々な条件を付けてくるため。サンタカタリ―ナ州の統計では、五〇%が二歳以下の子供を希望し、六四%がブラジル人希望、七五%が健康に問題のある子はいやだという。総合すると、ブラジル人で二歳以下の女の子という条件が最も多いともいう。
これに対し、〇四年の調査では、施設にいるのは、六〇%以上が黒人系で、七~十五歳の男の子が多い。
施設で育つ子供には、親に捨てられたという思いや深い悲しみ、低いセルフイメージ、攻撃性など、肉体的、精神的、心理的な問題が生じることも多い。
また、子供を引き取りたい人にとっては、どんな子供が親を必要としているのか、どこに行けば子供の情報が集まるのかわからないなど、思いはあっても、手が届かないもどかしさがあったケースもある。
このため、ブラジル司法協会(AMB)では、施設紹介や養子縁組の手順を説明する文書の全国配布や、優良施設の表彰と共に、公聴会も企画。国家司法審議会(CNJ)では、全国規模の登録システムを構築し、養子をと望む人たちと養子にと望む子供たちの情報を網羅する予定という。
また、新プロジェクトでは、父権、母権の審査の迅速化や、養子を迎えた場合には、男性にも育児休暇に当たる六十日の休暇を認めるといった配慮もされており、十八歳以上の養子を迎えることも認めるという。
サンパウロ州では昨年、約四千五百件の養子縁組が行われ、〇四年比約三五%増加。それでも、養子縁組に関心のある人が七千人以上もいるというのに、家庭を得ることが出来ない子供が千百人以上と、二月十五日付けデスタッキ紙が伝えている。