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JBPP第三国協力事業=日伯共同でアフリカ支援=5専門家が帰国報告=ポ語活かし、日系人活躍

ニッケイ新聞 2008年4月2日付け

 日伯パートナーシップ・プログラム(JBPP)の第三国協力プロジェクトにより、アフリカ諸国に派遣された日系人を含むブラジル人専門家らの帰国報告会が先月二十八日午前、ブラジリアの日本国大使館であり、アフリカ諸国の大使ら関係者約六十人が出席した。派遣されたのは、谷田リツコ(看護、アンゴラ)、ルイス・グレコ(職業訓練、同)、尾崎ミルトン(病院管理、同)、オルランド・ダ・シルバ(画像診断、同)、伊藤ルシー(保健指導者育成、モザンビーク)ら五人の専門家。それぞれの報告のなかで、アフリカの厳しい現状に触れながら、一様に南南協力の継続的支援の必要性を述べた。
 JBPPは、ブラジル、日本両政府が南南協力の新しいアプローチを進めることを目的に〇〇年三月、合意文書に署名したことで発足した。
 ブラジル側は、ブラジル協力事業団(ABC、八七年)を窓口に中南米諸国、ポルトガル語圏アフリカ諸国、東チモールに対し、協力を行っており、日本との間でも八五年から、第三国共同研修を実施している。
 〇五年の小泉・ルーラ会談、〇七年の緒方貞子JICA総裁・アモリン外相会談でも主要テーマに挙げられるなど、代表的な日伯共同事業の一つ。
 第三国集団研修、共同研修・セミナー、ワークショップが日伯等分のコストシェアで実施され、日系人に拘らないことで豊富な人材派遣が可能になることが特長となっており、すでに十四のプロジェクトが実施済、進行中だ。
 報告会に先立ち、島内大使は、「アフリカの発展は世界の注目を浴びている」としたうえで、今年五月に横浜で第四回アフリカ開発会議(TICADⅣ)が開かれることを紹介。
 「今年百周年を迎え、日伯両政府の関係が強化されるなかで、日系人の役割は重要になっていくだろう」とあいさつ。
 ブラジル側からはABCのパウロ・ミランダ所長、小林正博JICAブラジル所長がそれぞれ関係者に感謝の言葉を述べた。
 サンパウロ大学のクリニカ心臓外科病院の看護士長である谷田専門家はアンゴラの首都ルアンダにあるジョジーナ・マシェル病院に昨年三、十月と二度派遣され、看護学の授業や緊急処置などの講習を実施、他医療機関も視察した。
 そのうえで、水や電気などインフラの不足による医療環境の悪さなども指摘する一方、陽気でクリエイティブなアンゴラ人は看護職に適しているとしながらも、「看護は時間をかけて学ぶもの」とプログラムの継続を訴えた。
 同病院に昨年十二月に派遣されたサンタ・クルス病院長の尾崎専門家は、人材のレベル向上や病院経営の指導を目的に研修を行なった。
 「マネージメントするという概念すらない病院経営者もいた」と驚きをもって話し、医療機器や薬剤の維持・管理方法、組織作りやデータの活用法、患者との理想的な関係構築に関しても指導、「一定の評価を上げたのでは」と見る。
 続いて、「戦略的に経営を行なうことに理解を示す参加者は少なかった」と認識の違いにも触れた。
 セミナー前に行なったアンケートで一七%だった理解度がセミナー後、六七%となったデータも挙げ、「参加者全員から高い評価を得た」と報告。「今回の経験をサンタ・クルス病院にも繋げていきたい」と締めくくった。
 続けて、伊藤、グレコ、シルバ専門家らが報告を行ない、出席者らは関心深そうに耳を傾けていた。