ニッケイ新聞 2008年4月1日付け
一九世紀末のブラジルに約四年滞在、帰国後にブラジル公使館(一九二四年に大使館に昇格)の通訳官として勤務、移民関係の公文書作成に携わり、葡和・和葡語辞典を編纂した大武和三郎氏(一八七二~一九四四)を紹介する常設コーナーがブラジル日本移民史料館(七階)に完成、二月末から公開されている。
設置費用は、三千七百レアル。ブラジル在住の女性らで作る「ブラジルを知る会」が昨年九月に行なったブックフェアの収益寄付金が充てられた。
コーナーでは、大武氏が一八八九年に横浜で乗艦した軍艦「アルミランテ・バローゾ号」のクストジオ・デ・メーロ艦長や辞書編纂を紹介する写真パネルのほか、ブラジル海軍省発行の機関士免状、一九一八年に発行された葡和辞典の初版本、ブラジルの友人と交した手紙など十数点を展示、その波乱万丈な人生と辞書編纂の苦労を垣間見ることができる。
大武氏を長年検証してきたサンパウロ人文科学研究所の森田左京氏は、「死後六十年以上が経って日系社会がようやく顕彰することとなった。日伯友好の礎となった大武氏を多くの人に知ってもらえれば」と期待を込めて話した。
ブラジル日本移民史料館の開館時間は午前十時半から、午後五時三十分まで。月曜日休館。詳細は同館(電話=11・3209・5465/museu@bunkyo.org.br)まで。