ニッケイ新聞 2008年4月1日付け
「トマト銀行」が誕生したときにはみんながびっくりしたものだが、今や「りそな銀行」もある。ラテン語で「共鳴する」や「響きわたる」の意味だそうだが、なんともカタカナ語が多くなってご老人は困惑しきりなのである。故・倉橋由美子が学生時代に書いた作品「パルタイ」にも、これなんだろうと首を傾げた。ドイツ語で「政党」「特に共産党を指す」と知り大いに勉強したと自負したものである▼遯生はヨコ文字には弱い。ブラジルに40数年いるのに只今も「ボンジア」と「オブリガード」で通し昼の挨拶は「こんにちは」なのでブラジル人はキョトンとしている。と、いうわけで「カタカナ語の辞典」なるものを3冊ばかり置いているけれども、次々に英語に仏語に伊語に独語にラテン語などという誰も喋っていないカタカナ語までが雑誌や書物に登場し、とてもの程に「辞典」では間に合わない▼「学校でセレブだったのは」や「フォーマットで会話」といった文章がこれでもかとばかりに続く。コンビニエンス・ストアも、何故「便利な店」ではいけないのだろう―と思ってしまう。どうも―大和の人々は、ヨコ文字が好きらしく、しかも―いとも簡単に「コンビニ」と簡略化し大いに喜び、楽しげに語る▼そこへ今度は「KY語」だそうな。これで「空気が読めない」と読む。ローマ字で書いた時の略語らしい。こんな新語?ばかりの本が発売1ヵ月半で20万部も売れたというから、これはもう仰天である。「ND(人間としてどうよ)」「うーんCB(超微妙)」などと使うようだが、我れら熟年組には「それってIW(意味わかんない)」。 (遯)