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サンパウロ市の交通対策は頭痛の種=恩師から赤点評価のサンパウロ市長=公共手段拡充で問題解消へ

ニッケイ新聞 2008年3月27日付け

 渋滞解消のための交通対策を先週発表し、今週から実施のサンパウロ市だが、二十五日にサンパウロ市長の恩師が、「対策をとるのが遅すぎ」と赤点評価したことを二十六日付けエスタード紙が報じた。
 十七の道での駐車禁止、バス専用路線の確保やターミナルへの進入を容易にするための工事などの対策を打ち出したサンパウロ市では、準備不足のままで二十四日から対策実施となったが、対策の実施期限さえわからない項目もあり、二十五日の伯字紙の評価は、「効果は見えず」と手厳しい。
 サンパウロ総合大学でサンパウロ市長に土木工学を教えた恩師は、「交通対策は、問題が表面してから動いたのでは遅すぎる」と評価。市長が導入を考えている市内乗り入れ制限案(ロディージオの時間を午前、午後ともに一時間延長)についても、効果は期待薄とした。
 乗り入れ制限については、他の専門家も一時的効果しか期待出来ないと否定的だが、現在は市の中心部に限定されている大型トラックの乗り入れ制限区域を拡大して、ロディージオの適用区域まで広げる案については、車の流れが改善されるとする声もある。
 また、ロンドンのような市内乗り入れ車両からの通行料徴収の効果は、ほかの方策との組合せ次第ともいうが、やはり、時間はかかっても、公共交通手段の拡充への投資が確実な解決法との見方が強い。
 公共交通手段については、二十四日フォーリャ紙によれば、市内のバスの平均時速は、一昨年の十六キロから、昨年は十四・一キロに落ち、渋滞があってもなお市民が車を使う理由の一つ(理想は二十五~三十、最低でも二十キロ)。そのため、今回の交通対策にもバス専用路線の確保などが盛り込まれている。
 一方の地下鉄は、今年に入り八回の故障と二十六日伯字紙にあるように、保守点検作業の充実と機材の交換などの課題を抱えているが、十三日にサンパウロ州知事が発表した、二〇一一年までに五号線に十一駅新設の報や、二十五日に市長と州知事が発表した、二〇一〇年から二〇一二年にかけての六号線工事の報に期待したい。五号線は、ラルゴ13~シャッカラ・クラビンまでの延長工事。一方、六号線は、フレゲズィア・ド・オー~サンジョアキン間に十一駅、ヴィラ・プルデンテ~オラトリオまでに三駅の予定で、将来的には、サンジョアキン~ヴィラ・プルデンテ間もつながる(駅の数は未定)。なお、二号線のイピランガ~ヴィラ・プルデンテ間の延長工事も確認されている。
 地下鉄増設には、資金の確保、計画の承認、入札、工事と、時間はかかるが、二〇一四年のワールド・カップ開催までの交通網整備は国の課題でもある。