ニッケイ新聞 2008年3月26日付け
【フロリアノポリス発】四人の日本人が初めてブラジルの地を踏んでから今年で二百五年。四人が宮城県出身だったことから、ブラジル宮城県人会(中沢宏一会長)は、日本移民百周年などを記念して、サンタカタリーナ州フロリアノポリス市内にあるエンリッケ・ダ・シルバ・フォンテス教授文化研究センター(CIC)にこけし二体を設置した。また、同センター前には、造形作家の大竹富江さんのモニュメントが置かれる予定になっている。中沢会長は「こけしや七夕などの華やかな日本文化を知ってもらえれば」と今回の寄贈の趣意を述べた。
宮城県人会では、一八〇三年に日本人として初めてブラジルに上陸した四人を顕彰することとし、その足跡を辿る旅を企画、二十日から二十四日まで実行した。
一七九三年に仙台藩(宮城県)の石巻港を出航した若宮丸(乗組員十六人)。五カ月半の漂流後、ロシア領アラスカの島に漂着。十六人の内、帰国希望者四人(津太夫、儀兵衛、佐平、太十郎)は、ロシア船ネヴァ号、ナデシュダ号に乗り、シベリア、モスクワを経由、一八〇三年十二月二十日から翌年二月四日までサンタカタリーナ州の東海岸に立ち寄り、滞在し、初めてブラジルの地を踏んだ日本人になった。
そのため、同県人会では、県人会創立五十五周年、七夕祭り三十周年、宮城県人移民百周年、日伯交流年を記念、日本企業第一号の藤崎商会(一九〇六年進出)とともに、日本人として初めてブラジルに上陸した四人の顕彰し、四人の上陸地フロリアノポリス市にあるニッポ・カタリネンセ協会(新里エリジオ義和会長)に、宮城県伝統品のこけし二体を寄贈した。
今度のツアーで、高さ約一メートル、重さ約八十キロのこけし二体をサンパウロからバスに乗せて同市まで運んだ。受取った協会は検討の末、市内にある同センターに置くことを決定。
センター内には、映画館、劇場、博物館などがあり、市民が多く来場する場所。こけしは、センターの正面玄関入って直ぐの小さな庭に設置された。
この庭には、日本人到来二百周年を記念して、〇三年に大槻清貴エルソン氏が記念碑を建てている。
また、同センター前には、造形作家の大竹富江さんから寄贈されるモニュメントを設置する予定。当初は、市内に日本公園を建設し、モニュメントを置く計画になっていたが、地元住民の同意が得られず、センター前に置かれることになった。
新里会長は「とてもいい感じ。フロリアノポリスの日本を表徴するシンボルになってくれるだろう」と嬉しそうに話した。
中沢会長は「お茶や能などの日本文化だけじゃなくて、日本人の華やかで明るい部分も見て欲しい」と語った。
同県人会の関係者の後藤信子さんは「みなさんに見てもらえればこけしも喜ぶだろう。愛嬌を振舞いて宮城県のシンボルとしてなってほしい」と願いを込めた。