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EM技術による貧困削減プロジェクト=オイスカ・ウルグアイ=米州開銀と合意=日本大使が名誉立会人に

ニッケイ新聞 2008年3月25日付け

 【モンテビデオ発】米州開発銀行(BID)ウルグアイ事務所において、BIDとオイスカ・インターナショナル・ウルグアイ総局との間で去る五日、「EM技術による地方の最貧困層の貧困削減と衛生状況改善プロジェクト」に対する無償資金供与の署名式が行われた。竹元正美駐ウ日本国特命全権大使が名誉立会人として出席した。EMとは有用微生物群のことで、年代不明ながら、琉球大学の比嘉照夫教授(当時)によって開発されたといわれている。
 今回の計画はオイスカ・ウルグアイ総局がBIDにある日本信託基金貧困削減プログラムより、約十三万五千ドルの無償資金を受けて実施するもので、ソリアノ、ベジア・ユニオン、サンタルシア、モンテビデオ、およびトレインタイ・トレス五地区を対象に、小規模農業生産者に対するEM技術の普及を通じて、低コストの農作物生産を促進して所得向上をはかり、併せて衛生状況を改善することを目的としている。このため、地区リーダーを二十名と農家二百戸をパイオニア・ファミリーとして育ててEM技術の普及体制を構築するという構想だ。
 BIDを代表して署名したタコーネ・ウルグアイ事務所長は「これまでのオイスカ・ウルグアイの尽力に感謝するとともに、日本政府および在ウ日本大使館の協力に対しても感謝申し上げたい。本プロジェクトは貧困削減の観点から非常に有意義であると理解しており、今後の実施と成功に期待している」と述べた。
 これに対して、オイスカ・ウルグアイ総局のソレール会長が「この案件を提出してから一年半以上を経て署名式にたどり着くことができて非常に嬉しい。EM技術の普及が本格化する上で非常に重要な意味を有するものと確信している」と実施に強い意欲を表明した。
 名誉立会人として署名した竹元大使は「本プロジェクトを通じたEM技術の普及は単に農牧分野における生産性向上に寄与するのみならず、環境保全の観点からも、そして、食の安全性確保の観点から極めて意義深い」とオイスカ・インターナショナルと米州開発銀行に祝意を表した。
 中南米における貧困削減プログラムは、二〇〇一年に日本がBIDに三千万ドルを拠出して始まったといわれている。オイスカ・ウルグアイ総局は一九九三年十二月に設立され、九六年にBIDの多国間投資基金より、無償資金を得て林業分野における青年指導者の育成と森林思想普及運動(子供の森)を実施中だ。
 自閉症児教育でも評価は高い。その延長で近年ではサンパウロでも援護協会関係者らの支援を受けて、自閉症児の教育が始まっていることは本紙でも報じてきた通りだ。
 ラ・プラタ流域を共有するアルゼンチン・パラグアイ・ウルグアイ三ヵ国の日系NGO(民間団体)で構成されている草の根ラ・プラタ流域再開発研究会でも、オイスカ・ウルグアイ総局が中核的役割を果たしている。日本に対する木材と食糧の安定供給を目指す。