ニッケイ新聞 2008年3月19日付け
ブラジルに感謝します――。去る十四日午後九時からバラ・フンダ区にあるメモリアル・ダ・アメリカ・ラチーナで、オオガタミヅオさんとはるさんの二人で結成するデュエット「ハル」と、州立青年シンフォニーオーケストラの合同コンサートが行われた。
会場はほぼ満員になり、来場者のほとんどは非日系人だった。
開演と同時に、同オーケストラの団員が、拍手を受けながら入場。続いて舞台に上がった指揮者のジョン・マウリシオ・ガリンド氏は協力者への感謝とともに、「本日は、ブラジル音楽と日本の音楽の違いを楽しんでほしい」とあいさつ。
最初にオーケストラの演奏にあわせ、会場全体で日ブラジル歌を斉唱。その後、ジョン氏から「日本語で歌いながらサンバやボサノバなどのブラジル音楽のリズムを刻む二人の日本人」と紹介を受け、拍手喝采の中「ハル」の二人が登場した。
ジョン氏は続けて「日本語の歌詞なので分からないところがあると思うが」としながらも、「リズムやメロディーだけでも充分楽しめる」と紹介。オーケストラとともに「ハル」のオリジナル曲「誰よりも…」「筑豊の子守唄」「砂丘の女」「Los Andes~過去への旅人~」など全十一曲が披露された。
「ハル」の曲は、所々にポルトガル語の歌詞がちりばめられており、ボサノバやサンバのリズムで歌詞は日本語という一風変わったもの。優しく、親しみやすいメロディーに、演奏を重ねるごとに来場者はのめり込み、惜しみない拍手を送っていた。
オリジナル曲以外にも、日本の伝統的な歌として「荒城の月」「赤とんぼ」「ふるさと」をオーケストラと一緒に演奏。中でも「荒城の月」では、はるさんが縦笛を吹きながら情緒豊かに演奏され、大喝采を受けた。
最後の「Los Andes~過去への旅人~」は「ハル」の二人がペルーを訪れた時に制作された曲と説明された。軽快なリズムに明るい歌詞、聞く人を引き込むような曲調になっていた。
アンコールを受けて舞台に戻ったオオガタさんは、協力者に感謝を述べながら「ブラジルに感謝します。ありがとう」と慣れないポルトガル語であいさつした。
会場を訪れていた一世の女性は、「『筑豊の子守り唄』が良かった」や「『赤とんぼ』や『ふるさと』はいつ聞いても良いね」、と嬉しそうな表情。
「オーケストラに負けてしまうかなって心配していたけど、しっかり歌っていたね」と興奮した様子で話す男性もいた。
「ブラジル人と一緒にコンサートを行ないたい」という夢を持っていたオオガタさんは、公演後、「土地柄、風土全てに感謝している」と感激した様子で話していた。