ニッケイ新聞 2008年3月18日付け
クリニカ病院の心臓外科インコールは、サンパウロ市の空気が平常と表示されても、炭酸ガスの汚染度は心臓に疾患をもたらし、心臓発作が一二%増えたと報告した。心臓を病む人にとって自動車から排出する一酸化炭素は、一・五ppmで不整脈の原因になる。不整脈は、心臓マヒの黄信号だ。
大気汚染を調査する機関は、環境審議会(Cobama)の基準に従い一酸化炭素九ppm以下を平常としている。他にも吸引すると有毒なガスが種々あり、身体が基準以下を吸引しても心臓や呼吸器、神経系統に悪い影響を及ぼす。
大気汚染基準は一九九〇年に制定され、十八年も見直しをしていない。世界保健機関(WHO)は、ブラジルの汚染基準を半分に下げるよう進言したが梨のツブテである。サンパウロ市における大気汚染の九七%は、車両の排気ガスだ。
サンパウロ市では毎日、大気汚染が原因で八人が死んでいる。交通事故死が毎日四人で殺人が六・五人だから、八人は見直すべきだ。市内を走る車両数は近年、六百万台へ急増した。大気の清浄努力は、車両増加で帳消しとなっている。