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「旭日城」定礎式=2010年の完成めざす=アサイ市が肩入れ=財産として残す意向

ニッケイ新聞 2008年3月18日付け

 パラナの移民百周年を記念して、アサイ市(旧称トレス・バラス移住地、ミシェロ・アンジェロ・ボン・テンポ市長)とアサイ文化連合会(小岸穎郎会長)が計画する城建設事業。その定礎式が去る二月二十六日、市内の建設地で行なわれ、市民や日語校の生徒ら約千人が集まった。城の名前は同地にちなんで「旭日城(あさひじょう)」。早ければ今年五月ごろに着工、二〇一〇年の年央の完成を目指す。小岸会長は「この城は日系コロニアの財産になる。日本文化を後世に伝える我々一世の役目として必ず実現させたい」と意気込んでいる。
 午前九時半から始まった式には、ミシェロ市長、パラナ日本移民百周年実行委員会委員長の島田巧氏(同市出身)、兵庫県ブラジル事務所の山下亮(まこと)所長、連邦議員のアレックス・カンジアーニ氏らが来賓として出席、それぞれが祝辞を述べた。
 小岸会長は資金工面に尽力する同市市長やアレックス連邦議員、その他関係者に謝意を示し、参加者全員に協力を呼びかけた。
 城建設の発案者はミシェル市長。同市長は幼い頃から日系人と生活を共にしており、相当な親日家で知られる。同市に日本人の功績を形として残すとともに、街のシンボルとして観光客を呼び込む考えだ。
 建設費は四百万レアル。すでに同州観光局から五十万レアルの援助が決定。現在は、文化的な計画に対して大企業の税金の一部を運用できるルアネー法を申請するため、文化局と最終段階で調整を進めている。
 建設地はブラ拓が市に寄付した土地で、同市セントロにある小高い丘。総面積は約一千平米。携帯電話用のアンテナが立てられているため、当局に移転してもらい工事に着手する。
 設計図はすでに完成、パラナ州と姉妹州県提携を結ぶ兵庫県の城を見本にした。地上三階、高さ二十二メートル。三階の天守閣には同市ののどかな景色を望む日本食レストランや、兵庫県を紹介するコーナーを用意。
 入り口には日本庭園をつくり、同市の特産品や日本の物産を販売する土産コーナーを設置。一階には同市および近郊の団体が使用できる多目的ホールを設け、二階は茶室と同市の入植の歴史を紹介する資料館、図書室を予定する。
 施工会社を今後数ヵ月ほどで決める予定。小岸会長は近々パラグアイ国アスンシオン市近郊のイタ市を訪問し、同市に〇五年に建てられた「前原城」を視察する。
 この城はイタ市在住の前原弘道さん(前原農商株式会社社長)が私財で建てたもので、著名な日本人技師が携っている。日本から専門の瓦職人を招いて瓦屋根を仕上げている。
 小岸会長は、前原城の視察を参考にしたうえで、「技術的な問題は兵庫県側にも協力を求めたい」と話している。