ホーム | 日系社会ニュース | グルッポ・サンセイ20周年――代表のミチさんに聞く=独自の日系文化生み出す=音楽で若者を惹きつける

グルッポ・サンセイ20周年――代表のミチさんに聞く=独自の日系文化生み出す=音楽で若者を惹きつける

ニッケイ新聞 2008年3月15日付け

 北パラナの日系団体、特に若者グループの活躍はここ数年目覚ましいものがある。中でも、昨年七月末のYOSAKOIソーラン大会で三連覇を決めたグルッポ・サンセイは、まさにその筆頭だろう。代表の城間美智子さん(45、以下ミチさん)に、音楽活動を中心に日本文化に若者を惹きつける秘訣を聞いてみた。
 「歌はどこに行っても、日本人でなくても、意味が分からなくても楽しめるんですよ」。父は一世、母は二世、本人は「二世半かしら」と笑う。十三歳から歌に親しんだ。
 八三年に白坂典男さんが東京で行われた「第一回日本アマチュア歌謡祭」にブラジル代表として初出場して見事優勝した翌年、テレビ東京系の「外国人歌謡大賞」にブラジル代表として出演した。
 同年、ミチ・カラオケ教室を始め、今年二十四周年を迎える。ここから数々の全伯カラオケ大会優勝者が生まれた。八八年にはそれを母体に、全伯でも珍しい三世世代主体の日系団体グルッポ・サンセイを立ち上げた。現在では百五十人にまで増え、今年は記念すべき二十周年だ。
 長年培った得意なカラオケを使った独自の劇を、移民九十周年を祝って九八年から始めた。このミュージカル劇「日本移民物語」(A saga dos Imigrantes Japoneses no Brasil)はビデオ映像と舞台劇で、日露戦争からデカセギ現象までの移民史、百年間を一時間半で描く作品。パラナ州各地を中心に公演を重ね、すでに九千三百人が鑑賞した。
 より良い作品にすべく、今も修正を重ねており、五月には新しい百周年バージョンの公演をロンドリーナで行う。「その後、要望があれば各地で披露したい」と意気込んでいる。
 また、〇三年から始めたYOSAKOIソーランでは、サンパウロ市で行われている全伯大会で〇五年に初出場で優勝を決め、それから三年連続トップと快進撃中だ。昨年が第五回大会だから、全体の半分以上で優勝を飾った。同大会実行委員会のおかげで、今年は百周年を記念して特別に三十人が札幌の本大会に招待出場することが決まっている。
 同団体が二〇〇二年から主催するロンドリーナ祭りは昨年五回目にして、四日間で計十万人以上が訪れる北パラナ屈指の大イベントに育った。祭りで最も盛り上がるのは夜間のマツリダンスだ。特に若者に好評で、日本の歌謡曲に合わせて、同じ振り付けで一斉に数千人が踊る。
 「日本人だけじゃなく、イタリア系とか、若者はみんなマツリダンス好きみたいですよ」とミチさん。通常の盆踊り以上に、日系人以外の幅広い層の若者が参加しているのが特徴だ。
 歌謡曲を歌うことが好きだったミチさん。そこから出発してカラオケ教室、ミュージカル劇、YOSAKOIソーラン、和太鼓、マツリダンスと活動領域を広げてきた。日系三世、四世世代が中心になって音楽を通じて日本文化を楽しみながら、独自のスタイル「日系文化」を創造してきている。