ニッケイ新聞 2008年3月14日付け
アモリン外相は十二日、スペイン政府と入国拒否を、ザパテイロ新首相が組閣する四月まで一時中断したことを上院外交委員会で報告した。スペインはEUの移民法を導入したが、適用法については各国が見解を異にしている。
ブラジルから学会参加のため訪西した修士が多数スペイン入国管理局から入国を拒否されたため、ブラジルも報復的措置としてスペイン人二十四人を追放した。連邦警察バイア支署は六日、スペイン人旅行者を追放第一号として報復した。入国拒否の理由はないのに、何かと因縁をつけたと被害者は抗議した。
マドリードのバラハス国際空港にはその後、ブラジルから追放されたスペイン人旅行者が次々帰国した。異口同音に帰国者は、他愛ない理由で入国を拒否されたことで憤慨している。ブラジル女性と結婚する新郎は、片道切符しかないために追い返された。
スペインのマスコミは十二日、一斉にブラジルの報復措置をトップに取り上げた。ガレオン空港で入国管理局の行列から、スペイン人だけをつまみ出し旅券を没収。他の旅行者の面前でイラガラセ・ショーを展開した後、帰国のため一室へ閉じ込めたなど。
旅行者は両国政府間の行き違いから誤解が生じたことを承知しているが、そのツケが何の関係もない旅行者に回ることに不満が募っている。エル・ムンドやエル・パイスなど一流紙は、パニックの原因をつくったスペイン政府移民局へ抗議の矢を一斉に放った。