ニッケイ新聞 2008年3月11日付け
コロンビアのウリベ大統領が七日、ドミニカで開催されたリオ・グループ会議の指示に従いエクアドルに対する公式謝罪声明を発表し、エクアドルのコレイア大統領とベネズエラのチャヴェス大統領に和解を求めた。形としては、地域紛争が解決したらしい。
いっぽうコロンビアとベネズエラ国境は、民兵組織(ELN=コロンビア解放軍)や犯罪人の無法地帯と化し、両国を往来するビジネスマンは戦争ワクチンという通行税を徴収されている。ELNは、Farc(コロンビア解放前線)にあやかって立ち上げた武装組織のようだ。
国境地帯では「見ざる、言わざる、聞かざる」の法律が罷り通っている。住民は生活のために、厳しい通行税を払って商売をさせられる。窮状をラジオ局に訴えた市民は、同日夜暗殺。地元を窮地に追い込んだのは、通行税だけではない。拉致や射殺、少年兵の徴兵なども急増した。
Farcのナンバーツー殺害は、南米紛争の交差点になるらしい。コロンビアには行政と軍、民兵組織による潜在的な群雄割拠の問題があった。それをリオ・グループの圧力による和解が、四カ国にまたがる問題へ化したようだ。
亜国の社会学者フアン・トカチリアン氏は「テロ封じ戦争は、ラテン・アメリカの民主政治そのものを崩壊する。民兵組織の蜂起を呼ぶからだ」と警告した。ナンバーツー殺害が引き起こす混乱の本質を、ルーラ大統領は見抜いていないという。ブラジルの南米統合計画は、砂上の楼閣。
解決策は二つ、非武装地帯を設けるか、コロンビアの国内問題として片付け、周囲の隣国に干渉させないかだ。リオ・グループ会議では平和裡に終了したが、軍事力に裏付けされた和平しか通用しないのだ。南米諸国は表向き統合に合わせ、現実は軍事力の充実に努めわが道を行く。