ニッケイ新聞 2008年3月8日付け
コロンビアがエクアドル領土を侵犯した事件で危機感が高まっている。米州機構が開かれ討議されたが、早期解決は難しいのではないか。コロンビアには革命軍(Farc)という反政府組織があり、政府軍と戦っている。今回も革命軍のナンバ―2レイス氏を攻撃し死亡させた作戦において発生したものであり、この革命軍をどう評価するかによって解決策はまったく異なってくる▼米欧とコロンビアは、この戦闘集団を「テロ」とし撲滅に全力を挙げている。ところが、エクアドルとベネズエラは支援し、その活動にも協力している。しかも、エクアドルは、革命軍の基地まで提供の話もあるし、故レイス氏の所持品には、チャベス大統領が革命軍に3億ドル融資したの書類を発見したとコロンビアは発表している▼この革命軍は、「誘拐産業」を主動しているのも有名であり、2600万ドルもの身代金を払ったとされる矢崎総業の村松治夫さんの事件を記憶している読者は多いはずだが、この他にも多数の誘拐を行い、組織の財源にしているとの見方が強い。言うまでもなく、コロンビアは親米政権であり、反米を掲げるチャベスとコレア両大統領とは対立する▼ベネズエラ、エクアドルは国交断絶を宣言し国境付近に軍隊を派遣し緊張しているが、目下の情勢で戦争に突っ込む観測は少ない。米州機構は近く外相会議を招集して外交的な解決を探る。とにかく、コロンビアを取り囲む情勢は、社会主義と民主国家の闘いでもあり複雑なので抜本的な平和を構築するのには、かなりの時間が必要と見た方がいいのではないか。(遯)