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OAS米州機構=エ・コ両国折り合い決着=外交圧力効を奏す=人質とFarcが今後の課題=一人二役を演じるブラジル外交

ニッケイ新聞 2008年3月7日付け

 米州機構(OAS)は五日、ブラジルとチリ、アルゼンチンの外交努力によりエクアドルがコロンビアに対し国際制裁を断念し、コロンビアがエクアドルの領土侵犯を謝罪し、両国が折り合うことで決着と六日付けエスタード紙が報じた。OASがまとめた合意文書では、国境は理由の如何を問わず越境侵犯を許さないと記した。ルーラ大統領が両国大統領に節度ある融通性を求め、外交努力を決定的なものにした。OASは、幽閉中の人質解放とFarcの扱いで検討に入る。
 米州機構(OAS)の常任審議会は、エクアドル・コロンビア間の緊張緩和で圧力を掛けた。コロンビアには、隣国の国家主権侵害と領土の聖域化を認めさせ、国際法の基本を認識させた。またOAS査察団が現地入りし、両国の紛争分析を行うことも認めた。
 OAS事務総長とブラジルなどの代表四人は、事件のあった国境地帯を視察し、十七日ワシントンのOAS代表会議で報告する。この代表会議で、エクアドルの国交断絶は白紙に戻し緊急会議は閉幕とする。
 しかし、このOAS合意には、疑問点がある。コロンビアによるFarc(コロンビア解放前線)基地攻撃のための領土侵犯は、合意書が認めないとした。同合意書は、米国が得意とする先制攻撃の可能性に曖昧な表現をしている。
 四日のOAS緊急会議でコロンビアは、国連安保理条項一三六八号と一三七三号によりFarcの基地襲撃は合法行為であると主張した。コロンビアのエクアドルにおける領土侵犯が国際法に抵触するなら、米軍やNATOによるアフガニスタン侵攻も同罪ではないかと専門家はいう。
 コロンビア政府の同合意書容認は、コロンビアが米国よりも南米諸国の外交関係を優先したことを世界へ宣言するようなもの。合意は十四時間にわたる説得で、両国がラテンアメリカ団結を優先したものだ。
 ルーラ大統領は会議決着後、エクアドル支援のためコレイア大統領に距離を置いた。ベネズエラのチャベス大統領にはキルチネル亜大統領が「やることが中途半端」だとなだめ役に回った。チリのバチェレ大統領が、ウリベ説得役で効を奏した。