ニッケイ新聞 2008年3月4日付け
ブラジル千葉県人会(原島義弘会長)の定期総会が三日、栃木県人会会館で開かれ、新会館建設事業の建設資金について報告された。原島会長は、母県の民間企業・団体から寄せられた約三千二百万円の浄財が、今年一月末に県人会の口座に送金されたと説明。さらに今年八月ごろ、県と市町村会から約二千八百六十万円が助成金として送金される予定と述べた。県人会有志からの募金もすでに十万レアルを確保。会員一同、会館建設の実現に向けて、力を合わせているようだ。
新会館建設案は、原島さんが会長に就任した〇〇年度からの一大事業。〇五年、地下鉄ジャバクアラ駅至近に、県人会で工面した三十万レアルで三百平米の家屋付きの土地を購入。県人子弟の意識を高め、会員の交流の場をつくる目的で計画をすすめている。
会館は鉄筋コンクリート造り、地上三階、地下一階建て。経営状況の良好な県人会を参考にして、地方からの日系学生向けの宿泊用部屋として八部屋を用意。二人一部屋を基本に、家賃は一人三百レアル。毎月四千八百レアルの家賃収入に加えて、百二十人収容のサロン賃貸料を運営費にあてる。
このほど送金された約三千二百万円は、堂本暁子県知事の音頭で五千五百人の個人と約百五十の企業・団体から集められた。昨年十一月、原島会長は千葉県議会議場で開かれたセレモニーに出席、受領のサインをしている。
これに先立ち、昨年八月ごろには千葉県日伯友好議員連盟と同県自民党議員から約二百三十万円の寄付が県人会に寄せられた。それらを含め、同県人会の専用口座には約二十八万五千ドルある。
原島会長は今週中にもレアルに換金する。「一日でも早く工事を始めて欲しい」という母県からの要請もあり、建設地の解体・建設許可をまって、まずは手持ち資金で建設工事を開始する考えだ。
「為替状態が最悪の状態」――。原氏会長が語るように、現在一ドルあたり一・六五レアル。急激に進んだレアル高の影響から、当初検討した建設費の五千万円から更に一千万円を上乗せした予算を昨年県側に提示した。
また「自助努力」の精神で集められた、役員はじめ各会員による募金は現在十万レアル。この日、会場には「募金達成目標20万レアル 一致団結頑張ろう!!」という垂れ幕が掲げられ、協力者の名前をすべて掲示された。
「母県が財政難のため新規事業はしないと打ち出し、会館建設への助成は無理だといわれてきた」と原島会長。「周りからいつ会館ができるのかと言われたこともあるが、やっとここまで来た。レアル高で最悪の時世だが、会館建設は我々一世の最後の使命。一人でも多くの人から協力してもらいたい」と呼びかけた。
総会後の昼食会では、会員ら約八十人が日本食を囲んで歓談。婦人部らが踊りを披露し会場を沸かせていた。