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多民族との共生に向けて=神戸で集会=教育現場の課題考える

ニッケイ新聞 2008年3月4日付け

 【神戸新聞】多民族の共生に向け教育現場の課題を考える「第十三回県在日外国人教育研究集会」(神戸新聞社など後援)が去る二月十日、神戸市長田区神楽町一の市立長田南小学校で開かれた。県内各地から教師ら約三百五十人が参加し、現状を話し合った。
 近年、就労などで外国人が増加するのに伴い、入学手続きをしない不就学児も多い。さまざまな民族が安心して暮らせる社会を考えようと、県在日外国人教育研究協議会が企画した。
 在日外国人の児童・生徒が出自を題材にした作文を朗読した後、丹羽政雄弁護士が講演で共生社会を実現する法制度の確立を訴えた。朝鮮舞踊やベトナムの獅子舞「ムーラン」などの民族芸能も披露された。
 五つの分科会では、民族学校の閉鎖に抵抗した「阪神教育闘争」や日系ブラジル人コミュニティーの活動、学校での異文化紹介と母語教育などの報告があった。
 県立尼崎小田高(尼崎市)の生徒は、在日コリアンや中国残留孤児らの心情を聞いた感想を発表。在日コリアンで三年の松本愛里さん(18)は「異なる民族の理解には歴史を正しく知ることが大切。授業だけでなく、自発的に学ぶ姿勢も必要だと思う」と話していた。(佐藤健介記者)