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IBFox=失速した〃移民の夢〃=静岡で民事再生法申請へ

ニッケイ新聞 2008年2月28日付け

 失速したデカセギドリーム…。一九九〇年に訪日した玉田正利さん(三世、35)が、工場労働に従事して貯めた資金を元手に同胞向けの食肉店を始め、食料品の製造販売、雑貨や衣料の卸売りなどに事業を展開し、十年間で五十億円企業「アイ・ビー・フォックス」(本社=静岡県磐田市、IBFox)を育てた立志伝は、在日ブラジル人コミュニティの間では有名だった。
 日本からの報道によれば、二十五日までに同社はグループ四社(Terra Brasil、IBFox Foods、IBFox Enterprise、IBFox Tec)と共に東京地裁に民事再生法の適用を申請した。五社合わせた負債総額は六十二億三千九百万円にものぼる。
 『ニューズウィーク日本版』〇六年六月十四日号では「日本で花開く移民の夢」、日本経済新聞でも同年十一月六日付けで「出稼ぎ労働者として来日後、起業に成功して〃移民の夢〃を実現した」として紹介され、数少ないデカセギ成功者として扱われた。
 わずか七十ドルを手に九〇年に訪日した玉田さんは、九六年にブラジル人の仲間にリングイッサを売り歩く食肉販売業を始め、九九年には売上高は九億九千万円、昨年三月までの二〇〇七年度には五十一億八千二百万円を売り上げるなど急成長していた。
 地元の静岡新聞二十六日付けによれば、「注目されていた会社だけに、経営が不安定だとの見方がブラジル人社会にも伝わっていた。同社が経営するレストランを利用したことのある磐田市内のブラジル人男性は『昨年、以前ほど会社がうまくいっていないといううわさを耳にした。社長が努力して大きな会社にしたと聞き、大したものだと思っていたが残念だ』と話していた」と伝えている。
 中日新聞二十六日付けによればIBFox社の「負債額は〇七年度では、県内三番目の規模。営業は継続する」という。