ニッケイ新聞 2008年2月27日付け
サンベルナルド・ド・カンポ市日本移民百周年の開幕式典が二十日午後六時半から、同市庁舎「パッソ・ムニシパル」で開かれ、関係者約二百人が訪れた。同市では五、六月を中心に二十以上の記念イベント・事業を計画。〃百年分〃、三万六千本余りの木を植えるプロジェクトや、市内の「笠戸丸広場」再整備、日本文化イベントなど、その内容は多岐に渡っている。記念マスコットも独自に製作するなど、まさに市を挙げた取り組みだ。推計の日系人口約三千家族、聖郊有数の日系社会を誇るサンベルナルドでも、百周年が始まった。
連邦政府、サンパウロ州・市での百周年開幕を受けて開かれたこのたびの式典には、ウィリアン・ディブ市長、市関係者、同地の日系団体代表など多数が出席。サンパウロ総領事館の丸橋次郎首席領事、百周年記念協会の今泉ヨシオ理事など、サンパウロ市からも来賓が訪れた。
同市百周年組織委員会の南洋行委員長(市企画局長)が年間の行事・記念事業計画を紹介。それに先立ち、「日伯交流最初の百年間に汗と涙で築いてきた日本移民の歴史を、子孫として誇りに思う」と述べ、「サンベルナルド市、日系社会が力を合わせ、皆の記憶に残る百周年にしたい」と決意を語った。
同市在住の佐藤のりこさん、池田チヨコさんから来賓に、百周年の行事プログラム、記念品などが入った風呂敷包みを贈呈。
丸橋領事に続いてあいさつに立ったディブ市長は、ブラジルについて何の情報を得る術もなかった百年前に海を渡り、ブラジル人とともに歩み、困難と闘いながらブラジル発展に貢献した、と日本移民への賛辞を送った。そして、同市への最初の入植者、日系市議などの名前を挙げるとともに、「サンベルナルドの建設に尽した一人一人に祝福の言葉を送りたい」と語った。
会場では、NHKドラマ「ハルとナツ」の一部が上映されたほか、地元の漫画家、ジュアレス・コレアさんが製作した記念マスコット「ユキ(Yuki)」も紹介された。胴着を着ておじぎする男の子のデザインで、南委員長の孫がモデルになっている。名前の「ユキ(行き)」には「歩みを続ける」といった意味が込められているという。
サンベルナルド百周年=行事カレンダーを発表=〝百年分〟の植樹はじまる
サンベルナルド百周年の目玉の一つ、植樹事業は、一日一本として百年分、三万六千五百二十本の木を市内各所に植えるもの。二十四日には市内最高所のピッコ・デ・ボニーリャで第一回目の植樹が行なわれた。
日本文化週間「Japao em Sao Bernardo」は五月三十一日から六月八日まで開催。記念式典は五月三十日に予定されている。このほか六月十三日に「Noite da Gala da Integra cao Cultural Brasil-Japao」と題した文化イベントも実施。五月には南かなこさんのコンサートも行なわれる。
市内の「笠戸丸広場」に同船を模したモニュメントを、市役所前の広場に百周年記念碑を建てるほか、瑞穂文協敷地内にある姉妹都市の山口県徳山市(現・周南市)の名を冠した「徳山広場」の再整備、市内にある日本庭園「周南市庭園」を改修計画などもある。
また、六月十二~十四日には、神戸からサントスに渡った「友情の灯」が、十三、十四日にはリベルダーデ歩こう友の会の「移民百年の道ウォーク」が同市を通過する予定。
この他にも、市内学校で日本文化に関する授業を行なうなど、イベントにとどまらない幅広い内容となっている。