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キューバ=ラウル首相を指名=採算主義や対米対話の実績

ニッケイ新聞 2008年2月26日付け

 キューバ革命評議会は二十四日、フィデル・カストロ前首相の実弟ラウル・カストロ氏を後継者に指名したと二十五日付けエスタード紙が報じた。これからのキューバ政治に革命後生まれた世代の起用が期待されたが、副首相には往年の同志が抜擢された。
 新首相は、就任演説で政治構造の欠陥を認め調整を行うが政策は従来路線を踏襲すると宣言した。「路線の完璧を期して、規定と禁止事項を見直す。一部の国民に与えられた特権の廃止と米国への対応策を即時実施する」と述べた。
 同首相は、「効力ある政治を行うためコンパクトな政権を目指し、数々の会議や不要な手続きを廃する。キューバでは、市場通貨とツーリスト通貨の二種類があったため管理が困難で経済政策に支障を来たした。通貨の再評価を直ちに実施する」と語った。
 前首相の辞任によりキューバ国民は、ハンバーグを食べるという噂をキューバ政治に対する偏見だと否定した。同首相はいつも、前首相にとって影の存在でカリスマ性はない。これまでは専ら、米国の侵略防衛に当っていた。
 同首相は一九六四年、キューバ経済発展のため米政府との対話を提唱した。九〇年代旧ソ連からの補助金が途絶えたので、同首相が外資導入のために市場解放を提案した。さらに革命軍の再教育を行い、公社の経営管理を行わせた。そこへ資本主義手法を導入、採算ベースを求めた。
 キューバ政府は、安全措置のために政権引継ぎを秘密裡に行い、テレビで放送することもなく国民も知らなかった。政府系の新聞「グランマ」は、ブラジルの俳優ファウコの死を報じ、政権交代には触れなかった。