ニッケイ新聞 2008年2月22日付け
ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)主催の恒例「業種別部会長シンポジウム」が、十二日午後二時から、ホテル・ソフィテルで行われた。約百人以上が詰め掛け、会場は満員になった。
日本から、経済産業省の三田紀之通商政策局米州課長、本間英一通商政策局米州中南米室長、ブラジリアから在ブラジル日本大使館の宮下匤之総務参事官、吉村一元一等書記官、さらに松尾治百周年協会執行委員長が参加した。
今回のテーマは「二〇〇七年の回顧と二〇〇八年の展望」。今年はレアル高に見舞われて、輸出関係は例年にない痛手を被った。一方、アメリカのサブプライム問題にも悩まされた。
田中会頭は開会のあいさつで、シンポジウムの歴史を振り返りつつ、各企業が抱えている問題をあげ「このシンポジウムはブラジルの現状把握に役立つ数少ない信頼できるデータがたくさんある」と胸を張って話した。
続いて、西林万寿夫在サンパウロ日本国総領事は一時帰国時の話をした後、「日本ではブラジルの情報が乏しい。この機会を日伯間活性化に大いに利用してほしい」とエールを送った。
【コンサルタント部会・高山直巳部会長代理】発表内容は二月十九日付け(六ページ)で掲載済み。
【金融部会・藤井良治部会長】IPCA(消費者物価指数)、GDP成長率、貿易収支などの〇七年の実績を報告し、〇八年の予想値(ブラジル中央銀行集計)を発表。また、恒例になった金利・為替予想は〇八年六月末に、政策誘導金利(SELIC)を一一・二五%と四社の意見が一致した。為替レートは一ドルに対して一・七五~一・八一レアルを予想。四社とも一ドルが二レアルを超えることはない、との見通し。保険業界の〇七年の回顧は、全体的にみて保険収入、任意保険(自動車販売増加のため)が増加。〇八年の展望は市場拡大傾向に向かっている一方、過剰な値引き競争による損害率の悪化が依然懸念されている。
【貿易部会・佐々木修部会長】〇六年同様、輸入の伸びが輸出の伸びを上回る結果になったが、貿易黒字が前年を下回るのは実に十一年ぶり。鉄鉱石や原油、大豆などの一次産品の輸出は順調に成長しているが、レアル高の影響で輸出全体のペースが低下している。ブラジルの主要輸出相手国は、アメリカやヨーロッパ地域から、アルゼンチンや中国、ベネズエラへと変化している。輸入産品は、中間層への拡大が続いているために耐久消費財(家庭用品や自動車等)が前年比六〇%以上も上昇している。
なお、企業投資も拡大しているために資本財(農業機械用部品・付属品、工業用機械)も前年比二倍以上に伸びている。輸入は中国、ナイジェリアから目立ってきている。
〇八年の予想(ウニバンコ予想)は、原油価格の高騰の影響を受け、一次産品の輸出が拡大する見込み。雇用情勢改善、最低賃金上昇、金利低下などが影響し、国内消費市場が拡大するにつれ、消費財、資本財を中心に輸入増加が見込まれる。レアル高が続くと輸入も増加していくと予測。(つづく)