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ルーラ大統領=カストロは唯一の生ける伝説=前首相辞任を惜しむ=キューバ政治は国民の手に=新時代を模索する過渡期へ

ニッケイ新聞 2008年2月21日付け

 ルーラ大統領は十九日、キューバのカストロ前首相辞任に寄せて「人類の歴史のなかで唯一の生ける伝説として語り継がれる」と述べ、感極まる慟哭を押えることができなかった。大統領は労働運動に挺身した時代、同前首相の薫陶を受け、じゅくじたるものがあるようだ。これからのキューバ政治は、キューバ国民の手に納められると大統領は語った。カストロ前首相の政治手法には多くの問題と逸脱があったのも事実だが、革命に賭けた情熱と意欲は賞賛に価するとした。
 ルーラ大統領は、キューバにおける政治の変化について言及を避けた。「政治形態とは、各国の国民が選ぶもの。ブラジル国民がブラジルを思うよりも、キューバ国民は熱い思いでキューバの将来を心底から考えている」という。
 大統領は、米政府へもメッセージを送った。「キューバ国民は、自分の国の問題を解決できるだけ十分成長した。最早、米国の進言もブラジルの忠告も必要としない」と。大統領は、前首相の辞任でキューバが直面する数々の問題を冷静な手法により処理できると見ている。
 連邦政府は、キューバ首脳の交代劇がスムーズに行われたことで満足の意を表明した。ブラジルが懸念していたことは、米国へ亡命しマイアミで長年待機していたキューバ人が大挙帰国し、失地回復の烽火を挙げることであった。
 PT(労働者党)党員のベット神父は、次のように語った。前首相の辞任は、二度め。最初は革命運動が勝利を治めた一九五九年、ウルチア・キューバ大統領と衝突して首相の任を辞した。その後、国民の圧倒的支持で首相の座に返り咲いた。カストロ辞任が社会主義崩壊の始まりではなく、新資本主義のあり方を模索中であり、キューバは生まれ変わるという。
 大統領は、二〇〇六年からキューバ臨時政権を担い、革命軍を掌中に治めながら世界へ目を広げた弟のラウル氏を称えた。大統領は年初のキューバ訪問時、前首相は引き際の整理を考えていたことで、辞任は時間の問題と見ていた。
 大統領は、「革命至上主義の世代であったが、それは終わった」と述懐。大統領がサンパウロ州知事選に敗れた一九八二年、同前首相は労働者の何人が知事選へ挑戦するに至ったかと問うた。
 選挙結果は惨めであったが、使命の重大さを悟ったという。