ニッケイ新聞 2008年2月21日付け
サンパウロ市証券取引所は失地回復に向かう一方、為替市場でドル通貨が過去八年間の最低価格へ下落し、一ドルは一・七三三レアルへ付けた。二〇〇八年に入ってドル通貨は、累計で二・四八%の下落だ。
米国の不動産ローンに発した金融危機が克服されたとは誰も思ってはいないが、レアル通貨の健在振りは印象的だ。高金利政策を続けるブラジルが、先進国の投機資金を吸い上げていると見る金融関係者もいる。
米国の政策金利は三%で、さらに引き下げるらしい。ブラジルは一一・二五%で、低金利の国で資金調達をしてブラジルへ投資するのが国際的な流れとなった。そのため、レアルはさらにドルを引き離すと見られている。
米国発リセッションは、ブラジルを始めとする途上国が、先進国より一足早く危険域を脱出した。金融市場はドルが一・七〇レアルを切っても不思議ではないという雰囲気だ。
為替先物では、ドル安で入るものが目だっている。ドルの下落は、インフレ防止にも役立つ。評判の悪い基本金利の引き上げをしなくても、ドル下落でインフレは押えられる。ドルの下落で輸出が後退し、国際収支や財政政策に影響し始めている。