ニッケイ新聞 2008年2月20日付け
「日系人とは、華僑とは何かを知りたい」。早稲田大学の学際的な「華人と異文化交流」ゼミの学生十人と共に十七日に来伯し、翌日来社した引率の国際教養学部の楊立明教授は、そう主旨を説明した。
今年六回目の視察でリベルダーデを訪れることになったきっかけは、筑波大学の山下清海教授の論文『ブラジル・サンパウロー東洋街の変容と中国新移民の増加―』。実際に東洋街を訪れ、いろいろな人に知り合うことで、ハイブリッド(異種混交)化するアイデンティティへの見識を深めたいという。
参加者の一人、教育学部の福井寛子さん(20)は、高校時代に北京に留学した経験があり、その時、見た目は中国人なのに「私はブラジル人」と主張する帰国華僑子弟の親友ができ、彼女への興味からブラジルに関心が沸いたという。
国際教養学部の森上未紗さん(21)はブラジル人集住地域の静岡県浜松市に生まれ育った関係で、日系人に関心を持つようになり、「そのアイデンティティの変遷について卒論を書きたい」と希望している。代理処罰などの動きにも強い興味があり、「将来は外国人の意見を大事にする弁護士になりたい」と語った。
政治経済学部の山元康司さん(22)は北京大学に一年間留学したとき、「華人や華僑についての授業があり、関心を持った。日本以外に住む華僑の現実を見てみたい」と今回参加した。
ブラジル稲門会(相田祐弘会長)はもちろん、同窓生の小林大祐さん(元ニッケイ新聞デスク)らも協力。東洋街にある文協の移民史料館や人文研、客家センターをはじめ、日系コレジオなど訪問し、二十三日に帰路に就く。