ニッケイ新聞 2008年2月16日付け
ペトロブラス石油公団(PB)の機密情報が記録されたラップトップ四個とハードディスク二個が盗難に遭ったことで連邦警察は十四日、諜報機関(Abin)協力のもとに捜査を開始と十五日付けエスタード紙が報じた。機器そのものは海底油田とガス田の埋蔵量に関する技術的データをPBへ提供する米ハリバートン社の所有だが、データが国運を賭けた国家機密である。コピーは保管済みのものの、第三者の手に情報が渡ると国家戦略に支障を来たす恐れがある。
盗難に気づいたのは同機器が収納されたコンテナーが目的地に到着してからで、鍵の封が切られていたことで判明した。同コンテナーがサントス港からリオデジャネイロ経由でマカエーへ到着するまでに十二日間かかり、その間に何者かに抜き盗られたらしい。
サントス~リオ間は海上輸送で、リオ港で陸揚げされた。リオ港から目的地のマカエーPB支社までは、陸送。陸送を受け持ったのは、PBと長い取引があるトランスマギノ運送会社。運転手は、コンテナーの中味と特別契約については一切知らないと供述した。
ハリバートンブラジル支社は、何故ラップトップ四個を同コンテナーで運んだのかなどについてコメントを一切拒否した。同社とPBは昨年八月、ツッピー油田試掘調査の技術的データ提供の契約を、超深海と超高温をも含めて二億七千万ドルで交した。
同契約により同社は、ブラジルの国家機密に接する機会を得た。PBは盗まれたデータのコピーを保管しているものの、ライバル社も同データを所有するなら、ツッピー地域でまだ未開発の新油田発見に先手を打たれる可能性がある。
コンテナーは一月十八日、サントス港に到着。リオ港に陸揚げ後、一週間税関構内に放置。マカエーPB支社には一月三十一日到着。ハリバートン社の職員がコンテナーの封を切ろうとしたところ、既に封は切られていたことに気づき、事件が発覚した。
連警は、産業スパイと積荷強盗の二ケースで捜査をしている。ラップトップとハードディスクの他、何が盗まれたかが注目されている。Abinは産業スパイ説を採り、PBも容疑範囲に入れた。PBは重要データの運搬なのに、運送会社に一括委任し手を抜いた。
大油田の発見は一年間秘密にし、昨年末公表した。それが何故、いまザル漏りに国家戦略情報が飛散するのか。国家安全保障担当のフェリックス元国防相が、ラップトップ盗難の説明を国会から求められた。