ニッケイ新聞 2008年2月14日付け
百周年の記念事業中、最も重要な課題が人材交流である点に異論を唱える人はまずいない。百周年主催事業の中で、唯一この課題を担うのは「21世紀の日伯地域リーダー交流事業」だ▼各県から二人ずつブラジルで受け入れ、若者レベルの交流を増やそうというもの。現在、日本側で参加者を募集しており、和歌山県での募集が十一日付け産経新聞サイトにも掲載された▼一九九〇年、当時の竹下首相の提唱するふるさと創生事業の一環として、二百五十人が訪日したのが最初だ。そのメンバーの多くは現在、各地の日系団体や県人会の会長として日系社会を支えている。やはり訪日経験のあるなしは、その後の人生に大きな影響を与える▼逆もまた真だ。ブラジルを経験した人が、日本国内で親伯派となってくれることにより、これからの十年、二十年の交流を支えてくれるに違いない▼十三日のコチア青年連絡協議会の総会で香川公宏さんは「二世、三世の訪日ビザを不要にする運動をしたらどうか」と提案した。「ドイツ、イタリアなど欧州移民の子孫にとって、本国のパスポートがとれるからヨーロッパは近い存在。それに比べて日本は遠い」と訴えた▼日本には三十一万人ものデカセギがいるが、逆にブラジルに中長期滞在する日本の若者は少ない。二年ぐらい滞伯できる手軽な交流ビザがあれば、どれだけ理解者が増えるだろうか。今こそ将来につながる交流制度のあり方や法的枠組みを討議する好機だ。制度や枠組みはいったん作れば時が経つにつれてどんどん成果が拡大する。節目の年だから、そのような〃種〃を播きたいものだ。(深)