ニッケイ新聞 2008年2月13日付け
大統領府は十一日、野党PSDB(民主社会党)とコーポレート・カード(法人カード=以下CC)CPI(議会調査委員会)を巡って、ルーラ大統領とカルドーゾ前大統領については紳士協定を結ぶことで合意したと十二日付けフォーリャ紙が報じた。与党はジュカー上議(PMDB=ブラジル民主運動党)、PSDBからサンパイオ下議が交渉に立会った。CPIが前政権の一九九八年から調査するため両大統領の親族を白州に引き出すのは、不本意であると両人が判断したようだ。
CC・CPIの目的は、CCがどのように利用されたか流れの裏を読み取ることにあり、大統領の私生活や親族などプライベートな部分に立ち入ることが目的ではないと、両人は考えている。大統領個人についてではなく、大統領官邸の奥の院で何が行われていたかが関心事だという。
当のカルドーゾ前大統領は、調査対象が前政権に遡ったことと前大統領とその親族について手加減をすることで合意した報告を受けて激怒したらしい。前政権時代にCPIが遡るのは、法に則さない手前勝手な行動だと糾弾した。
CCは二〇〇一年に設定されたが、マスコミが報じるような事実は当時、大統領初め閣僚や議員の誰にも許さなかったという。それが現政権では、CCを大量乱発し省庁の一般職員に至るまで乱用させ黙認している。現在のCC乱用の実態を調べたいなら、前政権に立ち入って調べてもやぶさかではないと訴えた。
CC設定の趣旨は、国家安全保障のため大統領に認められた機密費のようなものであった。それが最近、国家安全保障の趣旨が変わったようだ。大統領にとって国家安全保障とは何か。PT(労働者党)とPSDBで見解が、違うらしい。法律上では大統領の聖域のようなもので、一般国民には理解し難い。
さらに両人の合意で疑問が生じた。CCは二〇〇一年に設定されたのに、一九九八年に遡って調べること。その間、机の引出しに隠していたのか。CCが認められたので、古いツケを清算したのか。だとすると吊るしあげられた閣僚は、大統領の牛を救うためピラニアに供された犠牲の牛なのか。