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農産物国際相場=食糧市場に異変が=需給法則から構造法則の時代

ニッケイ新聞 2008年2月13日付け

 ブラジルが、肌身に感じる国際農産物市場で異変が起きている。ザ・エコノミスト誌は十一日、国際経済における農産物価格の上昇傾向を次のように報じた。一九七四年から二〇〇五年の間に七五%も下落した農産物価格は、これから高値で記録更新を繰り返すと予測している。
 現在の強気相場は、向こう十年続くという。穀類は二〇一五年までに二〇%の値上げが見込まれる。相場は従来、需給の法則で予測をたてたが今は違う。穀類の在庫が飽和気味で二〇〇八年のサフラは豊作予想なのに、相場は強気だ。
 この現象を、アグフレーションと呼んでいる。時期的相場ではなく構造的相場の時代と関係者はいう。理由は二つ。中国とインドの「爆食」現象とエタノール・ブームによる大豆やトウモロコシなど穀類の価格上昇である。
 長期的に見て遺伝子組み替え農産物が、大勢を占めると思われる。農産物の生産地として将来期待されるのは、ブラジルを初めロシア、カザキスタン、コンゴ、スーダン。このうちインフラで先んじているのがブラジルという。
 もう一つは、異常気象による凶作の心配だ。二〇二〇年までに一五%の減収を見込んでいる。それに原油高騰による肥料と農薬の値上がりが、農産物高騰に拍車を掛ける。農産物高騰で笑うのは、ブラジルと米国らしい。多くの貧しい途上国は、資材高騰で生産力を失う。日本やメキシコ、アラビアなどは、高い食糧輸入を余儀なくされる。
 食糧高騰で中国やモロッコ、エジブト、メキシコは配給制を検討中。輸入関税を引き上げて食糧輸出の中止を検討しているのが、インドやヴェトナム、セルヴィア、ウクライナ。アルゼンチンとロシアは、その両方を実施するらしい。
 アグフレーションは、これから世界経済の動向を大きく変えると同誌はいう。この観点からブラジルは、羨望の的である。ブラジルの食糧部門には、世界の大資本が集中的に注がれると同誌は見ている。