ニッケイ新聞 2008年2月9日付け
昨年十一月にエネルギー危機が取りざたされた折、救世主のごとく公表されたトゥピー油田だが、今回は、生産量が三倍まで膨らむ可能性ありとの報で注目を集めている。
八日付け伯字紙によれば、ペトロブラス(PB)と合弁作業を行っている英国系のBGが七日に発表したもので、トゥピー油田の埋蔵量は一二〇億から三〇〇億バレルの可能性ありという。トゥピー油田の発見が公表された折には、埋蔵量八〇億バレルとされていたが、再評価の結果、埋蔵量が跳ね上がった。再評価前にBGが予測していた埋蔵量は一七億から一〇〇億だったという。
この発表で、サンパウロ市証券市場ではPB株価が三・三一%上昇。証券市場全体が下げ傾向にあった中、PB株の上昇が下支えとなった格好で、サンパウロ市証券市場は最終的には〇・〇一%の下げ幅に終った。
トゥピー油田の石油は軽質油で、製品価値は最も高い。PB、BGと共に合弁企業として働いているポルトガルのGalp株も上昇したというが、エスタード紙によれば、PB関係者の反応は国外に比べ、冷めたもの。これは、現実に生産作業にあたるPB側が、埋蔵量の二~三割の石油が精製されるという原則に従って見越していた採掘可能量の上限に対し、BGの発表によって計算される生産量はそれをわずかに上回るだけであったため。
それでも、海底から五キロから七キロの岩塩層をへて発掘されるガス、石油層の発掘、生産計画は、今年後半に四万バレル/日の試験生産を行った後、二〇一〇年までに一〇万バレル/日、二〇一三年までに一八万バレル/日と予定されている。
また、先月発表されたガス田ジュピテルなど、さらなる飛躍の可能性の大きいPB。エネルギー関連企業としてのPBのランキングは、世界一一位から六位に上がったと、米国のコンサルタント会社PFCエネジーが発表したのが二週間前。一般企業も含めた市場価値ランキングでは二〇〇七年末時点で世界一一位(〇六年は世界五〇位で一二四・一%の成長率)との報も八日付けフォーリャ紙に記載された。
七日付けフォーリャ紙ではPBの〇六年から〇七年にかけての雇用が、直接雇用四・七%、外部契約四五・四%の伸びであったと報じたばかりだが、雇用面でも証券市場でも急成長のPBは、国内、ラ米においてはトップ企業の座を誇っている。