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モジ市カーニバル=4万5千市民が百周年祝う=イタペチの神輿も登場=安部市長「とても感動した」

ニッケイ新聞 2008年2月7日付け

 日本移民百周年を記念して全伯で初めて「ブラジルと日本、百年の調和」をカーニバルの共通テーマに採用した、サンパウロ市近郊のモジ・ダス・クルーゼス市のパレードが二日から市内特設会場で行われ、各サンバチームは思い思いの衣装と山車を用意して、二晩に渡って日本移民をオメナージェンするサンバを繰り広げた。
 二日午後九時ごろ、安部順二市長により、全伯初の日系の〃カーニバルの主〃レイ・モモのヤスダ・タカヒロ・ダンテさん(22、二世)に統治権を象徴する「町の鍵」を渡す儀式が行われた。モジ市の人口は三十七万人で、全伯の約五千五百市町村中で五十七番目を誇る。
 安部市長は開幕にあたり、「日本人の子供として、素晴らしい日本移民受け入れをしてくれたモジ市民に心から感謝する。今とても感動している」とうっすらと涙を浮かべながら力強く語った。
 パレードでは次から次に笠戸丸を模したり、鳥居をのせた山車が登場し、日本移民を讃えるサンバに合わせて打楽器隊が力強い轟音を響かせた。
 モジ市に五十年間住んでいるという坂口貴美子さん(78、二世)は「カーニバルが好きで毎年見に来ているけど、今年は日本人を歓迎してくれているから余計いいね」と来賓席で嬉しそうに語った。
 同市カーニバル実行委員会のアダイルトン・アンドレウシ委員長は「まったく日本人のことを知らない人たちもいたが、今回は熱心に調査してテーマ曲を作ることを通して、面白いサンバを作ってきている」という。「年々、コムニダーデの活動が盛んになっており、それがサンバに反映されている」と音楽でなく、社会的に成果を挙げてきていることを強調した。
 二日間でアセッソ・グループ四チーム、スペシャル・グループ六チームがパレードを繰り広げ、四万五千人が有料観客席や会場脇道路から観て楽しんだ。
 スペシャル・グループで優勝したのは、二日目にパレードしたアカデミコス・ダ・フィエル。「移民の伝統」と題されたテーマ曲のはしばしには「お清めの塩を一つかみ、ご先祖さまへの敬意を」「神棚にお供え物を」などと日本文化を調査した成果が盛り込まれ、サビの部分には「幸運のお守り、光が我々を導く、さあ百周年だ! 今ショーが始まる」と勢いのあるサンバが歌い上げられた。
 総勢六百人のうち、打楽器隊は八十人。アルキバンカーダが総立ちにあるほどの盛り上がりを見せた。イタペチやコクエイラの日系青年約二十人が神輿を出して、雰囲気を盛り上げた。
 アセッソ・グループの優勝チーム「ヴィラ・ナタル」の先頭で、顔を白塗りにして着物姿で折り鶴を来観者に配っていたエリザベッチ・オルス・ド・プラドさん(59)さんに日本移民へのコメントを求めると、「日本人は教育がしっかりしていて素晴らしい。ブラジル人と一緒にやってきてくれたことへのお返しの気持ちで踊ってます」と息を弾ませながら語った。
 レイ・モモは「今回のカーニバルは、日本文化をもっとよく知る意味で、全員に取って大きな収穫だった。五十年前、おじいちゃんが来た頃の話を思い出させるパレードだった」(モジ市広報より)と感激した様子で語った。
 二日間にわたってパレードを観た中山喜代治モジ文協会長は「市民みんなが百周年を祝ってくれるのは本当ありがたい」と感謝の言葉を繰り返し、市長はじめ各チームに感謝状を送ると語った。四月十一日から始まるアルト・チエテ地方最大のイベントで、今年は百周年で特別盛大に開催する予定の「秋祭り」に向けて意気込みを新たにしていた。