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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年1月31日付け

 明日からカーニバルのパレードが始まる。安部順二モジ市長が〇一年に就任して以来、このブラジル文化に大きな投資をしてきたことは注目に値する。というのも、これはただの〃お祭り騒ぎ〃ではないからだ▼パレードに参加するエスコーラ・デ・サンバはテーマ決定、テーマ曲選定、山車や衣装のデザイン決定と製作、打楽器隊の練習、参加者全体の踊りの練習など、実質的に一年がかりで準備を進めていく▼このような強力なコミュニティ活動がある地域では自然と子供への教育に関心が高まり、青少年の犯罪抑制につながる。カーニバルを盛り上げることで、貧困層の多い地区の地域活動を強化してきたから、エスコーラ(学校)という名が付けられている▼日系社会に通じた安部市長だけに、各地の日系団体が和太鼓や野球や日本語教育などの活動を通して、青少年育成に力を注いでいることを知っているから、そこから発想したのかもしれない▼ブラジルにはコミュニティ活動を重視する気風が元々強い。オロドゥンというブロッコ・アフロ集団は一九七九年に、サルバドールのペロウリーニョ地区の住民がカーニバルを楽しむために始まったが、今ではアフロ音楽を代表する集団として世界ツアーを行うまでに成長した。このような例は多い▼もちろん、本場リオの一エスコーラが日本移民をテーマに選んだことは素晴らしいが、モジ市カーニバルの全体共通テーマとして百周年が選ばれたのは、別の意味で快挙だ。サンバ協会自体の決断であり、ブラジル文化理解者である市長と、地域に貢献をしてきた日本移民への敬意の表現だ。(深)