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アマゾン熱帯雨林=MT、PA、RO州で乱伐進行=3州は書き入れ時=大豆、牛肉、銑鉄が波に乗る=瞬く間に7千平方キロの森消滅

ニッケイ新聞 2008年1月25日付け

 国立宇宙研究所(INPE)は二十三日、アマゾン熱帯雨林が過去五カ月に三千二百三十三平方キロメートル伐採と発表したことを二十四日付けエスタード紙が報じた。例年は雨期で伐採が下火となる十一月と十二月、近年にない猛スピードで切り払われた。環境省の計算によると実際の伐採面積は、二倍以上の七千平方キロメートルに上ると見ている。伐採は大豆の作付けや牧場の拡張、製鉄所の薪注文が原因のようだ。
 伐採が特に顕著なのは、マット・グロッソ州とパラー州、ロンドニア州だ。別の探査衛星データを収録する環境省は、七千平方キロメートルといい、サッカー場七百個分の広さである。EUが熱帯雨林の伐採で生産したエタノールを輸入禁止としたことで、ルーラ大統領は環境証明書を巡って説明に行く。
 EUは二十三日、二〇二〇年におけるCO2削減のバイオ燃料導入計画を発表し、熱帯雨林の伐採によるエタノール生産ではないことを証明するよう要求している。EUのエネルギー局長はブラジルの現地視察を行い、エタノール生産現場と植物生態系への影響をも調べるらしい。
 EUは二〇二〇年、走行車両の一〇%をエタノールで走らせる計画であり、自動車用燃料の二〇%をブラジルから輸入する計画だ。米国産エタノールはその際、EU規格から外される見込みである。
 森林伐採は、マット・グロッソ州が断トツである。マジ知事は、同件について沈黙を守っている。INPEのデータは、予測的なもので誤差幅が四〇%あり、防止対策としての具体的なものではない。それにしても、深刻な事態であることに変わりはない。
 マリーナ・シルバ環境相は、大豆の国際相場高騰と途上国における牛肉需要の高まり、世界的な鉄鋼需要の増加が、森林伐採に拍車を掛けたと述べた。伐採が顕著な三州は最近、州経済がフル稼働している。
 伐採のチャンピオンを郡単位で見るなら、パラー州のサンフェリックスとクマルー。マット・グロッソ州のコルニーザとマルセランシア、クエレンシアで、ピッグ・アイロン(銑鉄)の大生産地である。