ニッケイ新聞 2008年1月24日付け
【神戸新聞】日本最初のブラジル移民船「笠戸丸」が神戸港を出航してから丸百年となる四月二十八日、神戸で太陽光から採火した「友情の灯」が神戸港からブラジル・サントス港に向けて出港する。日本、ブラジル両国が「日伯交流年」と位置づける今年、双方でさまざまな記念行事が催されるが、希望と不安を胸に新天地 を目指した先人の足跡をたどって海を渡る明かりは、そのシンボル的な役割を果たす。(小森準平記者)
「友情の灯」は、ブラジルの日系人団体からの「節目を祝うために送ってほしい」という要望を受け、両国の交流を進めてきた日伯協会や兵庫県、神戸市、関係団体などでつくる日伯交流年県実行委員会が応じた。
採火は四月二十八日、かつて移住者が日本での最後の生活を送った「旧神戸移住センター」(神戸市中央区)で凹面鏡を使って実施。太陽発電機で炎を電気エネルギーに変換して蓄電池に蓄え、地球儀を模した特製の装置に内蔵する。
蓄電池は百年前の「笠戸丸」と同じ同日午後五時五十五分に神戸港を出港。サントス港に到着後、再び蓄電池から点火台で炎に戻され、六月中旬にサンパウロで開かれる記念式典でともされる。式典には皇室や政府関係者のほか、兵庫県からも井戸敏三知事らによる訪問団や県民交流団などが参加を予定している。
神戸港からブラジルなど南米に移住した日本人は二十五万人以上。大半は国が宣伝した好条件とはほど遠い過酷な生活を強いられる中、懸命の努力で日系人社会を作り上げ、両国の架け橋となった。兵庫県国際交流課は「交流行事にはできる限り協力したい」と話している。
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兵庫県内では四月二十八日、県公館などで記念式典やシンポジウムが開かれるほか、「ブラジル移民百年祭」=同五―二十七日、旧神戸移住センターなど▽「サンバフェスタKOBE」=七月下旬、神戸ハーバーランド周辺-などの関連イベントが予定されている。