ニッケイ新聞 2008年1月17日付け
ハーバード大学のブラジル分校が十一日、サンタカーザ・デ・ミゼリコルジアで始まった。窓外には雪景色もなく、冷たい十七世紀の古色蒼然とした建物でもない。専門課程は公衆衛生と組織化で、選考試験をパスした米国人留学生十五人とブラジル人学生十六人が受講する。
公衆衛生の内容はエイズや黄熱病、デンゲ熱、マラリアなどで、授業は全て英語で行う。分校開設には、ハーバード大学とブラジルの大学カリキュラムのレベル差を縮小する目的がある。同大学はブラジルにキャンパスを設置する計画はないが、専門過程の増設計画はある。
米国における冬季の授業を、ブラジルで行う計画もある。同大学が関心をもっているのは、社会的条件や経済的条件、文化的条件、歴史的条件下での公衆衛生についてで、ブラジルをモデル・ケースにする考えのようだ。公衆衛生の進展には、所得格差の少ない途上国が理想らしい。
同大学の学生は全員、中国やインド、チリなどの現地視察や専門病院の訪問旅費を含めた奨学資金三千ドルを毎月、ロックフェラー財団から受ける。同大学で教えるのも学ぶのも、履歴書に箔がつくらしい。