ニッケイ新聞 2008年1月15日付け
BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)は十二日、ブラジルには百万ドル以上の資産を有する高額所得者が十九万人いると発表したことを十三日付けフォーリャ紙が報じた。二〇〇六年は十三万人であったのが、二〇〇七年は六万人増えた。十九万人の資産は六千七百五十億ドルに上り、ブラジル国内総生産(GDP)の約半分に相当する。資産家急増の原因は、株式の公開と記録的外国人投資のためとされる。
ブラジルには今、財テク・ブームが押し寄せている。後は波に乗るか、乗らないかということらしい。クーニャ兄弟は二〇〇七年、サンパウロ市ジャルジン区にファッション・デザイナーのクラブを設立した。クラブを訪れるデザイナーの作品を紹介し、コミッションを貰う商売である。
金を儲けるには、ビジネスに関する動物的本能が必要のようだ。高額所得者へ仲間入りした六万人は、ほとんど三十代のニューリッチ。前年比で四六・一%増の十九万人が、GDPの半分を稼いでいる。このタイプの調査は、ブラジルでは初めてという。
ブラジルでは富が集中しているので、世界の投資銀行や資産管理会社の注目の的になっている。仕事がし易く、最小限の手間で最高の能率が上がるからだ。所得格差の拡大で、笑う者と泣く者がいる。チャンス到来とは、猫に小判をバラ播くようなものらしい。
ブラジルでは二〇〇七年、中小零細の六十四社がサンパウロ市証券市場で上場した。公開した株は毎日、四十九億レアルも飛ぶように売れた。サンパウロ市証券取引所は、世界でも儲かるほうの筆頭として知れわたった。
株公開は、僅かの資産を掛け算で増やす道らしい。株は、倍々ゲームで売られる。その陰には、レアル通貨の高騰と直接投資の急増がある。他に好調な不動産業界や強気のアグリビジネス、波に乗ったエタノール関連企業の盛況が、資本市場を煽っている。
最近外資系企業で働く高級管理職は、サラリーを自社株で貰う。無能管理職の給料は、半減かそれ以下になる。反面、倍々ゲームで給料が増える管理職もいる。有能な管理職は、殺気立っている。女性や年少者も最近、金銭感覚が目から鼻に抜けている。