ニッケイ新聞 2008年1月12日付け
国家保健庁(ANS)が十日、四月二日から二千六百万人の保健プラン加入者のために医療幅をさらに約百項目加えるよう指令し官報に公布した。その中で聴覚検査や避妊手術、食事療法、心理療法、精神病治療、婦人病の精密検査などを保健プラン加入者が受けられるようになると十一日付けエスタード紙が報じた。但し一九九九年一月以降のプラン加入者に限る。
増設される医療項目の応対は、四月二日以後に限る。また救急病院や総合病院、産院などの別枠カテゴリー保健プランは、手術を含めた応急措置か否か従来通り契約内容に従い実施され、変更はない。
これまで保健プランに含まれなかった男性の精管手術や女性の卵管手術、臓器の結さつ手術、子宮への人工授精も、加えられる。聴覚検査や心理療法は、一定の制限回数で行う。婦人病の精密検査は、医師の了解次第で実施される。
ANSが発令した法令は、保健プラン法が制定された一九九九年一月以降に契約した加入者のみを対象とする。それ以前の保健プラン加入者については、ANSが現行法と照合し応対範囲を検討する。据え置き期間は、来年へ先送り。
民間の保健プラン企業は、新法令を履行できないと声明を発表した。医師協会と消費者擁護団体は、ANSの新法令が画期的なものではなく難病で苦しむ患者は、依然として放置状態にあると批判した。
遺伝性の疾患は現在、約一千種認定されているが新法令が治療を認めたのは八種に過ぎない。血友病などは専門医が認めた場合に限るとされるが、ブラジルには僅かしか専門医がいない。北伯では、皆無のため絶望的である。
保健プランは、生命保険のようなものらしい。保険加入の間は死神など近寄らないが、破約した途端に不幸が訪れる。一般の加入者は、殆どプランを利用していない。必要に迫られて保健プランに加入する低所得層は、事情が違う。保健プランは赤チン位なら塗ってくれるが、生死を争う病気には扉を閉ざす。
医師協会が保健プラン企業と新法令を分析した結果、百種の疾患を応対しても治療費は八%増えるに過ぎない。これならプラン掛け金の調整は必要ないと見たが、保健プラン企業は不服として掛け金値上げを検討中のようだ。