ニッケイ新聞 2008年1月12日付け
八日に国家電力庁担当者が今年の電力カットがありうると発言し、揺れたブラジルだが、政府は、九日、十日と連続して大停電の可能性を否定した。
九日付けエスタード紙によると、降雨の遅れと降雨量の少ないこと、新しい水力発電所の建設が遅れてきたこと、それに経済成長に伴う電力消費の増加などによる水力発電所の貯水池水位の低下は当初予想されていた以上。最も水位が高いはずの時期に、中西部や南東部が四〇%余り(昨年同期は六〇%超)、北東部や北部は各々二七・〇四%と二九・九七%、唯一ある程度の水位を保っているのは南部の七四・二六%という状況(七日現在)である。
北東伯では昨年中から火力発電所の操業が始まっていたが、十一日付け伯字紙によれば、政府はエネルギー不足を否定しつつも、十日から南東伯での火力発電所操業開始を指示。十日には八〇〇MWが火力発電によって供給された。燃料供給の問題が解決されフル操業し始めれば一二〇〇MWの発電となる。また、二月半ばにはリオ州の天然ガス発電の発電所も稼動し始める予定と言う。
政府がエネルギー危機を否定しながら火力発電を指示したのは、現在のブラジルは二〇〇一年のエネルギー危機の時とは違い、より柔軟な体制で電力供給を行う備えが出来ている証拠だと政府担当者。しかし、一般の企業家たちは二〇〇八年から二〇〇九年にかけてのエネルギー不足の危険性ありと分析していることが十日付けフォーリャ紙には報じられた。
一方、十一日エスタード紙では、大統領が現政権では節電も電力カットも無く、電力不足による大停電の可能性を口にした担当者がいたことを訝ってさえいると報道し、エネルギー確保のための万全の対策をとることを決めたという。
ただし、貯水池の水位が期待値より低いことは確かであるうえ、今年の雨は三月半ばまでで、例年並の降雨量は期待できないとのこと。従って、水力発電による発電増加は難しい状況である。一方、火力発電は輸送管が完備されることでガスの供給量増加が見込まれること、年の半ばには液化ガスの還元利用が可能となることなどが明るい材料とされている。
十一日エスタード紙には、大統領がキューバ訪問から帰国した時点で民主運動党(PMDB)のロボン氏を鉱山動力相に指名発表する意向と報じられたが、新鉱動相のもとでエネルギー対策の確立、拡充がなされることが望まれる。