ニッケイ新聞 2008年1月12日付け
「我百二歳誓ブラジル再訪」「祝移民百周年」――。新年の書初めでこう大胆に書き上げたのは、幼児教育や知的障害児教育の先駆者と知られ、昨年八月にブラジル講演した曻地(しょうち)三郎さん=福岡市在住、101歳=。満百二歳になる今年も五度目となる世界一周旅行を計画し、八月には百周年の記念事業のひとつとして、サンパウロ大学や日系団体の招きで特別講演をおこなう予定だ。羽織袴の出で立ちとともに、「百歳からが人生」との掛け声で、コロニアをまた勇気づけてくれそうだ。
曻地さんは昨年八月、一九三〇年代にブラジル移住した教え子の消息を訪ねるため、初来伯。宮城県人会会館で開かれた記念講演では、世界旅行の経緯や教育理念、健康の秘訣などを紹介し、大好評を博した。
今年の世界旅行では、手作りおもちゃの実演依頼があるアフリカ諸国やトルコ、インド、オーストラリアなどを巡る。さらに二月には台湾の台北大学で、五月には上海華東師範大学で特別講演を予定している。
日本時間の今月七日朝には、インターネット回線を通じたテレビ電話で、百周年協会の松尾治執行委員長らと新年のあいさつを交わした。九州大学に留学中の日系男性に習っているポ語で、「ブラジル移民百周年おめでとうございます。私は百二歳になりますが、又お目にかかることをお約束いたします」と呼びかけた。
松尾氏も「私たちは日本人の誇りをもってブラジル社会で生きてきました。これからもその誇りを忘れません。どうか、日本の皆さんも私たちの意を理解してください。また、沢山の人が、日本とブラジルの間を行き来して欲しい」と返したという。(曻地さんのブログより)
昨年の講演では、「一日一知」の精神で、「日々新しいことに興味をもち、頭を練ることが重要」と話した曻地さん。その際には韓国語、ロシア語、中国語を勉強していると話し、日記はすべて外国語という徹底ぶりを披露し、満員の会場を沸かせた。
また昨年の来伯時に日系子弟の活躍を知り、「教育に生涯を賭けてきた私にとっては、わが意を得たり・・・。これぞ世界に誇れる教育の成果である」と、日本人移住者の努力に敬意を表したという。