ニッケイ新聞 2008年1月9日付け
昨年十二月に黄熱病が原因の猿の死亡例が報告され、中西伯を中心に予防接種が行われているが、今年に入り、黄熱病と見られる患者事例が何件か報告されている。
最初に報道されたのは、五日のエスタード紙。ゴイアス州の三一歳の男性が三日に黄熱病の症状で入院。既に重態であったが、六日のエスタード紙は四日夜死亡し、九〇%の確率で黄熱病と報道。
次いで、連邦直轄区(DF)の事例として八日の伯字紙が、四日に入院し五日に死亡した三四歳の男性と、二日に入院した三八歳の男性、五日に入院した二九歳の女性の三例が、黄熱病の疑いと報道。三例とも最終診断はまだ下されていないが、八日のフォーリャ紙は、マット・グロッソ州(MT)でも二二歳の女性が黄熱病の疑いで治療中と報じている。
このうち、DFの三八歳の男性と、MTの女性はゴイアス州に滞在した後に症状が出ている。二〇〇七年中に報告された猿の死亡例は九州に及ぶが、ゴイアス州では黄熱病による死亡例が確認されている。また、DFでも、年末に死んだ猿のうち十一頭で黄熱病が確認されている。
猿の黄熱病罹患の報が流れてから、黄熱病の予防接種が積極的に行われているが、昨年中は、ゴイアス、アマゾナス、パラー、ロライマの四州で人の黄熱病例が報告されているほか、MTでは一九九二年から二〇〇六年にかけ、一三人の死亡を含む二二例が報告されている。八日のエスタード紙では北伯、中西伯のほか、マラニョン、ミナス・ジェライス両州も感染の危険ありと報道。これらの地域へ旅行する場合は十日以上前に予防接種を。予防接種の有効期間は一〇年。
これまでに報告された黄熱病の感染例は、罹患した猿の血を吸ったハエマゴグスまたはサベテスと呼ばれる蚊から感染するもの。別に人から人への感染のケースがあり、デング熱の媒介ともなるアエジス・アエジプチ蚊が原因。人から人への感染は一九四二年来報告されていない。
また、デング熱も、元旦早々に出血性デング熱によると見られる死亡者(二日フォーリャ紙)が報告されたりしており、一日のエスタード紙では、流行しやすい年の前半五カ月(発症例の八二%はこの時期)は特に注意をと促している。
八日エスタード紙にはサンパウロ州グアルジャ市での脳膜炎の報告もあるほか、昨年流行が報告された風疹もまだ終焉したとは言えない。暑さで体力が落ち易い時期でもあり、予防接種や食事、水分補給等に留意し、体調に異常を認めた場合は医師の診断を仰ぎたい。