ニッケイ新聞 2007年12月29日付け
中央銀行は二十七日、国内経済の過熱によるインフレのほうがパキスタンのテロ事件よりも懸念事項だとする報告書を発表と二十八日付けエスタード紙が報じた。特にサービス価格の高騰が、心配の種だと中銀はいう。二〇〇八年のIPCA(消費者物価指数)は四・三%で、目標の四・五%以下としている。しかし、ジェットゥリオ・ヴァルガス財団のIGP・M(市場物価指数)は、二〇〇六年の三・八三%から二〇〇七年に七・七五%へ跳ね上がっている。
パキスタンの元首相暗殺事件は世界の金融市場を震撼させたが、ブラジルにとっての懸念は経済過熱による安いクレジットの蔓延であると中銀が警鐘を鳴らした。今年のクリスマスにそれが表れ、インフレへの不確実性を示威した。
中銀経済政策局は、二〇〇八年度の見通しを発表した。経済成長率は今年五・二%へ上方修正をしたが、二〇〇八年は四・五%とした。しかし、国内のインフレ圧力は予想を越えるが、原因の所在は解明できていない。例えば食料だが、消費者価格全般を引き上げる勢いで高騰した。
そればかりではない。サービスの高騰も、インフレ圧力を加担した。インフレ要因とは複雑なもので、経済全般へ伝染する前に患部を突き止める必要がある。中銀はブラジルの慣例的な問題で、堂々めぐりをしているようだ。
ブラジルでは生産が偏り、消費者の需要に応えられないことが再々起きる。それは家庭ばかりでなく、メーカーでも同じ。消費者は米がなければ南瓜を食えといっても、そうはいかない。不足分を緊急輸入しても、手続きに時間がかかり政治的ジェスチュアに終わるのが通例であった。
輸入品によって国内価格を調整するのは、国内生産者を抹殺し国家安全保障問題に発展するから良策とはいえない。ブラジルには供給と需要を調整する政府機関があっても、機能しない。政府放出の食糧は、豚も食わないという。
それでも、ブラジル経済は発展する。二〇〇七年の投資は、一二・二%増と消費の五・九%増をはるかに超えた。経営者の五三%は、二〇〇八年に事業拡張を計画している。これがフル稼働するなら、インフレも少しは治まる。