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東西南北

ニッケイ新聞 2007年12月29日付け

 米国の動物園でシベリアトラが人を襲ったというニュースが報じられていたが、被害者は米国生まれのブラジル人二世。クリスマスに一七歳の短い生涯を閉じた青年はいつも、「お母さん、僕はブラジル人だよね」と言い、母親も、誇りを持って「そうだよ」と答えていたという。カリフォルニアの地で若い命が散った。
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 クリスマス連休中の連邦高速道での死者が一九六人というのは、二十年来の最悪の数字だという。道路状態はよくなったというのに死者が増えたのは運転する側の問題と道路警察はいうが、フォーリャ紙には「高速道での大虐殺」の見出しで論説も。サンパウロ州道の死者もカーニバルを上回ったとの報もある。新年にかけて旅行される方はくれぐれも注意を。
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 年末はクリスマス以外に学校の卒業式等もあるが、高校生の娘が卒業を認められなかったため、母親がピストルを持って学校に乗り込んだという事件も起きた。大学にも受かったというのに、高校卒業が認められないなら、娘は大学には行けなくなると、自分を失った母親。警官が来て取り押さえられ、病院に送られたが、学校側は夜に予定されていた卒業パーティーのために警察の特別警護を頼んだという。
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 年末、年始をリオで過ごすためにやってくる国外からの観光客は、多くの場合繰り返してやってくる人。そこに目をつけた写真家と設計士が計画した「寝床と朝食作戦」は、市南部のイパネマ地区高台のスラム、カンタガロの住民宅で観光客を受け入れるというもの。一日五〇レアルという廉価につられた引き合いもあり、スラムの人たちには思いもかけぬ副収入。皆様揃って良いお年を。