ニッケイ新聞 2007年12月27日付け
応用経済研究所(IPEA)は二十四日、ブラジルがスイスやポーランド、オーストリアなど高齢化がすすんでいる国よりも社会保障制度に大量の資金をつぎ込んでいることが判明したと発表した。IPEAは社会保障制度や掛け金額、支払最少年齢などを調査の結果、ブラジル国民は構造的に高齢化しつつあると二十五日付けフォーリャ紙で
報じた。これからは、国内総生産(GDP)に比例する年金を支払うべきだという。
ブラジル国民が高齢化していることで、これまでの社会保障システムの考え方が、現状に則さなくなったとIPEAは結論を出した。現状維持で何ら改革を講じないなら、システムはやがて破綻するという。
ブラジルの社会保障システムは、カーブにさしかかり脱線したまま走っている。国民が高齢化すれば、支出はふえる。しかし、ブラジルには、ブラジルに相応しい社会補償システムを導入すべきである。
六十五歳以上のブラジル人は現在、労働人口(十五歳から六十五歳)の九・一%いる。これがオーストリアでは二四%、隣のウルグアイは二一%。これらの国が払う年金は過重である。しかし、現実に即したものであらねばならない。
ブラジルの社会保障システムは、GDPの一一・七%に相当する。世界では、十四番目に大金を払っている国だ。社会保障院は‘一月から十月までに百二十億レアルル支払った。昨年同期比一二・八%増である。これで社会保障院の赤字は、三百九十億レアルへ膨れあがった。
ブラジルの掛け金支払期間は、年金の受け取り期間に比して短期間だ。多くの場合、支払期間は三十年、受け取り期間は三十年以上である。これが、社会保障システムを破綻させる原因といえる。
外国の例に倣うなら、定年年齢を引き上げ掛け金支払期間を延長しなければならない。遺族年金は、存命中の年金より低くする。外国では、社会保障制度を年金と医療などの社会福祉を別々にしている。
マリニョ社会保障院総裁は、現行の掛け金支払期間
女性が三十年、男性三十五年をさらに五年以下の延長を考えている。国会が補償改革に取り合ってくれる雰囲気ではないという。
社会保障制度改革が手遅れになると、ある日突然高率な掛け金を長期間払うことを通告せねばならない。これは労働者にとって酷だ。新社会保障システムを制定して、それ以後採用になった労働者には新制度を容認してもらう不利な制度なると同総裁はいう。
それから同総裁は、補足年金基金を設立し年金の上限を決める必要があると考えている。農村労働者年金や社会福祉的な保証金など掛け金を支払わずに受ける社会保障システムは、別扱いとして新たなシステムを作る必要があると述べた。