ニッケイ新聞 2007年12月21日付け
最高裁は十九日、サンフランシスコ川の疎水工事停止を呼びかけたソウザ検事総長の要請を却下と二十日付けフォーリャ紙が報じた。停止を解除した最高裁判事六人は、政府が政策として実施する公共工事に、最高裁が介入することも是非を判断することもないとの見解を示した。またジレイト判事は、連邦地裁が下した疎水工事の停止処分を無効とした。ルーラ大統領は、工事停止を訴えてハンガーストに入ったカッピオ司教やCNBB(全伯司牧協会)の要望を退けた。
連邦地裁第一法廷による工事の停止判決で中断していたサンフランシスコ川の疎水工事は一月七日、再開することになった。最高裁による検事総長の要請棄却と第一地裁の判決無効は、ルーラ大統領の勝訴といえそうだ。同疎水工事は、数世紀にわたる北東伯住民の悲願であり、大統領の優先事項でもあった。
工事停止としたのは、ブリット判事とペルーゾ判事、メーロ判事の三人。同工事は川の随所に堤防を築き干ばつに苦しむ北東伯全域へ運河を引く工事だが、病人から献血をさせて他の病人へ輸血するようなものというのが反対の要旨。反対側には、検察庁やCNBB、弁護士協会(OAB)、環境団体、農村労働者協会などがいる。
疎水工事で最も問題視されたのは、先住民の保護地域が広範囲に接収されることを国会が承認するかであった。先住民が疎水工事によって恩恵を受けることの有無が、工事の焦点だと最高裁はいう。
ルーラ大統領は十九日、ハンガースト中の司教との対話を断念し、CNBBの事務局長へカルバーリョ大統領顧問から電話で最終結論を報告させた。陸軍がクリスマスと正月休暇が終了し兵営へ帰還する一月七日、工事は再開されると。これで政府との対話窓口は閉鎖するという。
リーマ社会統合相は、セルトン(荒野)といわれる北東伯地域を乳と蜜の溢れる地へ蘇生させるための疎水工事は、説明を要しない大工事であるといった。最高裁決定に、勝訴も敗訴もない。政府は理想論ではなく大衆の福祉であれば、いつでも訴えを聞く用意があると記者団に述べた。