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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年12月20日付け

 昨年の年頭、堀村隆彦大使(当時)は「加速の年に」とハッパをかけた。今年元旦の新年会で西林万寿夫在聖総領事は「仕上げの年に」と呼びかけたが、サンパウロ市の百周年協会の状況を見る限り、心許ない状況のようだ。わずか十二日後に迫った次の新年会では、なんと呼びかけるだろう▼まっとうに物事を進めるには、準備が肝要だ。お金がなくて準備ができることは限られている。しかるに、最も仕込みをすべきこの時期に、資金がないことは本番でなにを意味するのか▼一部で以前から指摘されている。豪華でなくていい、きちんとした「式典」を挙行し、しっかりした「百年史」を残すことが百周年の最低条件ではないか▼主催事業であるにも関わらず、百周年協会が百年史編纂委員会に対して、必要な時期に資金を回してこないため、準備作業が予定通りにはかどらない▼JICAの支援などでようやく一冊目は刊行の目処が立ったが、まだ総額の二十八万ドルにははるかに及ばない。同じく主催であるアルモニア日伯学園構想もそうだったが、編纂委員会も独自に資金集めを始めざるを得ない状況になってきた▼この百年史構想はマナウスからポルト・アレグレまでの全伯移民史を地域別、分野別に六冊に分けて調査記述していくプロジェクトだ。毎週集まって編纂会議を行い、一冊目の内容を詰めてきた▼同委員会により、両国で写真展を行う計画も着々と進行している。二冊目以降をより充実させるために、「昔の写真や移民史料を寄せてください」と全伯に呼びかけている。もちろん肝心の浄財も集まれば、さらに弾みがつくだろう。(深)