ニッケイ新聞 2007年12月18日付け
日本から要請されていた代理処罰(国外犯処罰)の初めての判決が下った。
〇五年十一月二十二日午前二時頃に起きた浜松市のレストラン店主強盗殺人事件について、ミナス州裁判所第五犯罪法廷のレイナルド・ケネディ・シルバ裁判官は十八日午後に、ウンベルト・ジョゼ・ハジメ・アウバレンガ被告に対して三十四年五カ月の禁固を言い渡した。判決文は四十六ページにわたる長文。三月一日に初公判が開かれ、わずか九カ月のスピード判決だった。
静岡県警は事件後、レストラン経営者の三上要さん=当時(57)=を絞殺し売上金約四万円を奪ったとの強盗殺人容疑で、アウバレンガ容疑者を指名手配。帰伯逃亡した同容疑者はミナス州リオ・カスカ市で洗車場を営んでいたが、今年二月十六日から身柄を拘束されている。
ブラジル側から日本の司法関係に証人への追加証言などを依頼し、七月に嘱託尋問が行われ、その結果が九月四日に戻ってきていた。同裁判所広報によれば、その追加証言により、ミナス州検察局は日本の警察による調書と同じ内容だったと確認したという。
刑法に詳しい原田清弁護士は、「殺人と強盗ならば普通は六年から二十年ほどで、最高でも三十年。今回の刑について重たいか軽いかどうかはいえないが、最長に近いといえるのでは」と解説する。
初公判から九カ月で判決が出たことに対しては、「これは異例の早さです。このケースなら八年から十年ほどかかってもおかしくない。恐らく日本政府が早く判決を出すようにブラジル側にプレッシャーをかけた結果でしょう」と話した。
ただし、「でもブラジルでは禁固刑の期間を十年も経過したら、昼間は刑務所から出て、夜は戻るといった半拘束の形で刑を償うようになることもある」と説明した。
同裁判所の広報担当ハウル・マッシャード氏によれば、強盗・放火の容疑で二十九年九カ月、殺害現場の放火未遂の容疑として四年八カ月。原田弁護士によれば、放火で四年八カ月は通常の判決だという。
原田弁護士は、被告側は「恐らく控訴をするでしょうね」と推測する。正式な判決内容が弁護側に渡されてから五日以内に控訴をする必要がある。