ニッケイ新聞 2007年12月13日付け
サンパウロ州教育局の日本文化教育プログラム「VIVA・JAPAO」の発表会が十一日朝から、レジストロ市のマリオ・コーバス政府スポーツセンターで盛大に行われた。リベイラ地域の公立学校二十六校が参加して、各校の生徒たちが調べた日本に関する展示や日本文化を発表。最後には地域四十四公立校の生徒約二千二百人が「君が代」や滝廉太郎作曲の「花」を大合唱した。レジーネ・アリスサンパウロ州教育局レジストロ支局長は「今日は終わったが、これからが始まりだ」と力強く語った。
日本移民ゆかりの地レジストロを中心としたリベイラ地域では、同プロジェクトの参加校に対して、文協や市役所、市議会、地域住民などが大きな援助をしている。日本文化を学ぶために、日本舞踊や民謡、折り紙などを披露したり、KKKK(旧海外興業株式会社、現在は資料館)の見学などを実施。遠方地域からの参加者への費用や食事などの支援も行っている。
今回の発表会には、文協関係者をはじめ、市議会議員など多くの関係者が詰め掛けた。二千人以上も参加して行われる大規模な発表会は初めてということもあり、関係者の注目も大きかった。
会場入口には、風船で作られた鳥居。センター天井には風船で彩られた百周年のロゴマークが下がる。鳥居をくぐると、各学校が漫画や折り紙などそれぞれのテーマについての研究成果を発表していた。
各学校が取組んでいるプログラムなどを、DVDを用いて紹介。自分たちの学校が紹介されると、生徒は一際大きな声を上げてアピールした。
中央のステージでは、各学校が取組んでいる踊りや太鼓、たて笛と舞踊を組み合わせた「さくらさくら」など一風変わった日本文化の紹介なども行われ、大盛況を見せた。参加した各校の教師や校長には記念品が手渡され、主催者から感謝の言葉が述べられた。
最後にはサウナのような蒸し暑さの中、生徒たちが君が代を大合唱。会場には地鳴りのような大音量が響いた。生徒らはこの他、滝廉太郎の「花」や、「海を渡って百周年」、「アクアレラ・ド・ブラジル」など様々な曲を見事に歌い上げた。
日本人移民の入植当時の衣装を身に纏い、食事の場面を演じていたフェリッペ・アラウージョさん(15、ジョアキン・キロット校)は「最近では当然のように日本食や日本文化に触れる機会がある。六カ月ほどしか勉強していないが、日本の歴史に一番興味がある」と語った。
ドウラードにあるヴィアナ・ムニス・エルドラード校のロベルト・タナカさん(14)は「以前少し日本文化を勉強していたが、このプロジェクトで学ぶことができた。日本移民をはじめ全てのことに興味がある」と楽しげな様子。君が代や日本の歌の歌詞を見ながら「一カ月ほど前に始めた。意味は全く分らない」と照れ笑いを浮かべた。
この日、シダダニア財団による選考で一位に輝いたのはリカルド・ジョゼ・ポリ・メンデス校の「レジストロ記念写真を通した日本移民の歴史」。
入植当時の写真はもちろんのこと、日本人移民初期入植者のインタビューなど多岐に渡る内容だ。同校のリヴィア・レントルス・フィルゲイラス校長は、「まさか一位を取れるなんて夢にも思わなかった」と顔をほころばせ、四百七十ページを超える膨大な資料を捲りながら説明してくれた。
川本イネス副市長は「子どもたちが日本文化を紹介していたのをみて自分の子ども時代を思い出した。まだ問題もあるだろうが、越えていくことによってレジストロ市のコミュニティー発展を祈っている」と感想を語った。
レジーネ支局長は汗だくになりながら、「今日の発表会は終わったが、終りではなくこれからが始まり。さらに日本文化を学んでいきたい」と強調した。
日野寛幸同プログラムコーディネーターは「数日間かけて準備し、一生懸命にやったのが素晴らしい。百周年や日系社会、市などが力を合わせて行っているのが良い事であり希望でもある。今回はとても良い印象だった」と満足そうな様子で話した。