ニッケイ新聞 2007年12月8日付け
【女性分科会】日語継承に関心を=会員高齢化も問題
女性分科会では、レジストロ、サントアマーロ、ベロ・オリゾンテ(ミナス州)、サントアンドレ、モジ、サンジョゼ・ドス・カンポス、ロンドリーナ(パラナ州)などから、主に婦人部で活躍する十三人が出席、女性の視線から見た文協や日系社会の将来が活発に話し合われた。
山下リジア、上利クリスチーナの両氏が司会に立ち、最初に「友」と書かれたイヤリングを参加者相互に渡し、自己紹介し合うことで雰囲気を盛り上げた。
まずは地元の団体・協会が抱える問題点について、出席者がそれぞれ現状を述べた。
モジなど多くの出席者が発表、高齢化やイベントなど盛り上がりの不足、厳しい財政などが共通の問題となっていることが確認された。
これに対し、レジストロ代表は、六婦人会による連合会組織があることを話し、続いて、パラナでも年に一度、『婦人部の集い』が州内六十婦人部の参加で実施され、「多いときは七百人が集まる」と発表。出席者らは〃統合〃の効果に関心を深めた。
若い会員の呼び込みには、「プールやスポーツ施設が必要」との声に、ベ・オリゾンテ代表が、「うちはあっても来ない」と混ぜ返し、魅力ある企画の重要さが認識された。
それぞれが活躍する婦人会でも、人員不足とマンネリ化が進んでいるとされ、「目的を持ったイベントの開催、リーダー育成、思い切った改革」など打開策に挙げられた。
なお、非日系の参加者からは、「日系でないから、料理などを手伝う機会がもらえなかった」などといった日系社会の閉鎖性についても指摘があった。
「日本語の継承に子供たちと一番近い女性がもっと関心を持っては」「男性中心の団体のなかでもっと女性も発言するべき」などの意見も上がり、二時間半発言は途切れることがなかった。
多くの参加者は、サンパウロと地方の連携の重要さを認識、次回開催の意義を唱えていた。
司会の山下さんは、「短い時間のなかでまとめるのは難しい問題」としながらも、「一度会ったことによって関係が繋がっていけば」と期待を寄せた。
【事務局分科会】問題点を6点に集約=解決策めぐって議論
事務方代表を集めた分科会には十三団体から一人ずつが出席し、文協の中島エドゥアルド事務局長による司会のもと、熱心に議論を交わした。
最初に各団体から、三つずつ事務レベルの問題点をあげ、次の六点に集約した。(1)日本語学校(2)いかに若者に日系団体活動参加を動機付けるか(3)専門的な法律面相談(4)文協は必要なときだけ地方に支援を求めるのみで見返りがない(5)文協との意思疎通をどう緊密にするか(6)財政をどう好転するか。
「免税団体にするための法的な手続きや、会計問題についての情報や相談できる人がほしい」「文協は協力券を押しつけるときだけくるが、文協から何の支援をしてくれるのか」など様々な意見が披瀝された。
汎スザノ文化体育農事協会(ACEAS)の事務局、山本善左門さんは、スザノ日伯学園を設立したことで若者が増加し、経営が好転するなどの良い影響を運営面でもたらしていると説明。
二年前に九十人で始まった同学園は現在二百二十人を数えるまでになり、非日系児童が四〇%もいるが、ほぼ全員が日本語授業を受講している。「パラグアイやアルゼンチンからも視察に来た」などと運営モデルの有効性を説明した。
他団体からも「会費だけでは運営できない。スザノのように何かのサービスをプロ化して料金をとれる形の運営形態を模索しないと生き残れない」などの意見がでた。室内サッカー場などのスポーツ施設を一般に貸し出して利益にするなど、実用的なアイデアも出された。(おわり)
全伯日系団体の連携めざして=文協統合フォーラムを振り返る=連載《上》